雨の街角

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| 2019.08.11 Sunday |
第三章 恋心 〜風を切って走る〜

朝早く出て来たものの、海に到着したのは昼前だった。
後部座席においてある弁当入りの鞄を持って車から降りた由香は、段ボール箱を抱えるお兄ちゃんの姿を見た。
「お兄ちゃん、その段ボール箱、何が入ってるの?」
「本だよ」
「本?何で?」
「何でって、今から読むんだよ」
「海で読むってこと?」
「うん、海は本を読む場所だからね」
そう言うと、お兄ちゃんは、段ボール箱を抱えたまま車のドアを足で閉めた。
『変な人…何で、海に行くのに本なんて持って来るかな?それもあんなにたくさん』と由香は思ったが、それを口に出すのはやめた。

お兄ちゃんは先に砂浜に行き、ビニールシートを広げ、座ってお弁当のふたをとった。
「美味しそう。本当におまえが作ったの?」
お兄ちゃんは、お弁当に目を見張った。
「そうだよ。一部お母さん作もあるけど」
「一部おまえ作で、ほとんどがお母さん作じゃないの?」
「二度も三度も失礼な人だね。私は大学で栄養士になる勉強してるの。だからこのくらいは作れるよ」
「栄養士って栄養のことは考えるけど、料理は出来ないとか?」
「栄養士の資格を持ってるものは、調理師の資格を兼ねるのよ。つまり、栄養士は調理も出来なければなれないの。分かった?」
「ははは。冗談だよ。そんなにムキにならなくても」
「下らないこと言ってないで、早く食べたら?」
由香はふくれながら、お弁当を差し出した。
「旨い!この唐揚げ本当に旨いよ」
「良かった」
喜んでくれたお兄ちゃんを見て、胸をなで下ろした。
「ホント、すっごく旨いよ。うち、父親代わりにおふくろが働いているんだよね。忙しいでしょ?だからおふくろの味みたいなの、あまり食べたことがなくて。だから、手作り弁当っていうのも久しぶりだよ」
居酒屋の帰りに送ってもらったとき、お兄ちゃんが早くに亡くなったお父さんの話をしてくれたことを、思い出した。

「俺は理工学部」
「じゃ理数系が得意なんだね?」
由香はおにぎりをほおばりながら言葉を返した。
「それがさ、俺の得意分野は国語。現国も古文も漢文もOK。国語は何でも大丈夫なんだよね。ほら、さっき見たように趣味は読書だし」
「じゃ、なんで文系じゃなくて、理工学部に入ったの?」
「よくぞ聞いてくれました。得意分野に進むよりも、あえて不得意な分野に進むのって、格好よくない?前から向かってくる風を切って走るみたいな感じで」
彼は自慢げにそう言った。
「何、それ。でも私の学んでる栄養学も理数系なの。高校の時の成績、数学、科学、物理は3年間通して4か5じゃないと入れないんだよ。それにうちなんて解剖まであるの、医学部みたいに。私は理数系は得意だけど一番好きな教科って言われると国語なんだよね」
「じゃあ、おまえも俺と一緒で、向かってくる風を切って走ってるんだ?」
二人は顔を見合わせて笑った。



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| 2017.06.30 Friday |
洗車機

今日は久々に仕事が早く終わったのでガソリンを入れに行った。
車が汚れていたので、ついでに洗車もすることに。

最近は洗車にもいろいろタイプがあって、水洗いのみ、シャンプー、コーティングまでついたタイプなど洗車機に入れるだけでも5種類くらいから選べるようになっている。
私はいつも真ん中くらいのを選んでる。800円だ。
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| 2017.06.29 Thursday |
梅雨になる前に神戸まで 6
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栄町に行くとこんな感じのお店がズラズラ〜っと並んでいます。
ナチュラル系というか。
服とかグッズとかいろいろありますが、どちらかというと私の趣味のものは売ってません(笑)
なので見るだけで買うことは皆無ですね。
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| 2017.06.26 Monday |
第三章 恋心 〜小学生のような恋〜

翌日は、朝から雲一つない快晴だった。
約束の7時に近づき、家の外を見ると、もうお兄ちゃんの車は止まっていた。
「おはよう」
と挨拶し、由香は車に乗り込んだ。
「おはよう、寝坊しなかったな、偉い、偉い」
お兄ちゃんからは、そんな声が返ってきた。
「どこの海に行くの?」
車が動き出したのを見計らって、由香が聞いた。
「ちょっと遠い海だよ」
「ちょっと遠いって、よく分かる話だね」
由香は笑った。

その後も、今から行く海の話や、サークルの話で会話は続いていた。
嘘の告白をしたときのように、空気がよどんでいたらどうしようと思っていた由香は、その会話にひとまずホッとした。

会話が一呼吸ついた頃
「この辺りで昼飯買っとく?」
お兄ちゃんが車を止めて言った。
「お弁当作って来たから飲み物だけでいいよ」
「え?作ってきてくれたの?」
お兄ちゃんは嬉しそうに言った。
「うん」
由香が鞄に入ったお弁当を見せると、お兄ちゃんは怪訝そうな顔で言った。
「毒が入ってるとか?食ったら腹が痛くなるとか?」
「そんなこと言うなら食べなくていいよ!」
少し怒った顔をすると
「ごめん、冗談。じゃ、飲み物だけ買ってくるよ」
と言ってお兄ちゃんは車を降りて行った。

少し経ってから、由香も彼の後を追った。
お兄ちゃんの手には、缶コーヒーが握られていた。そのコーヒーには「ブラック・無糖」と書かれていて少し嬉しかった。
「どうした?何か欲しいものでもある?」
お兄ちゃんに聞かれたけど、由香はだた
「ううん、何もないよ」
と言って微笑んだ。

二人は、お菓子を物色しながらしばらくコンビニの中をグルグル回った。
「俺、コンビニでバイトしてるんだ」
ポテトチップスを手に取りながら、お兄ちゃんが言った。
「だからこの前、サークルの時、コンビニ弁当買って来てくれたんだね。どこのコンビニ?」
「俺んちの一つ前の駅前にあるコンビニ」
「あぁそこなら知ってる。大学の帰り道だからよく通るよ」
「そっか。おまえは?何かバイトしてるの?」
お兄ちゃんがそう聞いたところで、レジの順番が回ってきたので、会話はとぎれた。
『コンビニで買い物か、私たち周りの人から見たら、恋人みたいに見えるのかな』なんて思いながら由香は一人ニヤニヤしていた。
「おい、行くぞ」
と、お兄ちゃんに声をかけられるまで、由香は1人ニヤニヤしていた。
まるで小学生のような恋だ。

車に戻ると、お兄ちゃんは黒い方の缶を由香に差し出して言った。
「はい、おまえはこっちね、ブラックコーヒーの格好いいお姉さん」
「ありがと」
笑いながらそれを受け取った。
二人を乗せた車はゆっくり北上を始めた。



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| 2017.06.25 Sunday |
車とさくらんぼと…

コンビニに行った時雑誌コーナーでふと見かけた車の本。
最近こういうのを手に取ることはなかったけど、このタイトルを見たら買わずにいられなかった。
「TOYOTA GT傑作選」
家に帰るまで待てずに駐車場で読んでしまいましたよ(笑)
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| 2017.06.23 Friday |
梅雨になる前に神戸まで 5
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では旧居留地に向かいます。
鯉川筋と国道の交差点。交番前です。って知らない人は分かるか!ってことですが(笑)

位置関係は道しるべの通りです。

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| 2017.06.21 Wednesday |
第三章 恋心 〜彼との約束〜

あのサークルの日の大雨は、梅雨入りのサインだったらしく、その後、毎日雨が続いていた。
由香は、講義中もぼんやりと外を見て、窓を伝う雨の滴を数える日々を過ごしていた。
そして前期の試験になり、しばらくサークルは休みになった。
会えないことが良いような悪いような、寂しいような、でも会いたくないような…
そんな曖昧な心を抱えながら、夏休みはやってきた。

のんちゃんから次のサークルの連絡が入ったのは、夏休みに入ってすぐのことだった。
「7月最後の日曜日、サークルがあるんだけど、大丈夫?」
「う、うん、多分行ける」
のんちゃんの問いかけに戸惑いながらも短く返事をした。詳細は追って連絡する、ということでのんちゃんからの電話は切れた。
由香は一連の出来事を、彼女に何も話していなかった。
居酒屋で騒いだあと、送ってもらったときにいろんな話したことも、相談があると言って会ったことも、そのとき自分がついた嘘の告白のことも、何も。

のんちゃんからの電話を切った途端、次の電話が入った。
「あの…俺」
「お兄ちゃん?」
「お、今日はすぐに分かってくれたね、良かった、良かった」
「どうしたの?今、のんちゃんから次のサークルの電話連絡もらったところだよ」
「そう、次のサークルが決まったから。だから…いや…」
「だから、どうしたの?私なら大丈夫だよ。もう敬語遣って話したり、変な態度とったりしないから」
「う、うん」
「じゃ、何?」
由香は少しじれったそうに聞いた。
「あの、えっと…あの話どうしたかなと思って。ほら、あの時話してくれた彼の話」
お兄ちゃんの話は、しどろもどろで何か変だったが、それよりも、由香はあの相談をしたことをすっかり忘れていた。
もう一度ちゃんと考えるように、言われていたものの、お兄ちゃんにあんな告白をした由香にそんなことを考える余裕はなかった。
「あ、あの彼、ね。それならちゃんとしたから。大丈夫」
ちゃんとしたというよりも、あのまま放置している、と言った方が正しかった。
「そっか。それならいいんだ。ちょっと気になっていたから」
「ごめんね、心配させちゃって」

電話が終わりに近づき始め、どちらかが「じゃ」と言えばそれで切れてしまいそうな状態だった。
しかし、自分が馴れない口を開くと、またこの前みたいにロクでもないことになりそうで、由香は黙っていた。

「あの、明日、海に行かないか?」
少しの沈黙のあと、お兄ちゃんが言った。
「海?サークルで?」
「いや、俺とおまえと二人で」
「二人で?いいけど…」
「けど?俺と二人じゃ行きたくないってこと?」
「そんなことない、ない。行きます!」
由香は、お兄ちゃんの言葉を慌てて否定した。
「良かった。じゃ、明日朝7時に迎えに行くよ」
「うん、楽しみにしてるね」
「寝坊するなよ。じゃあな」
という声が聞こえて、電話は切れた。

由香はワクワクした。
それは海に行くからではなく、単にお兄ちゃんに会えることへの期待だった。



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| 2017.06.19 Monday |
最近のできごと
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ちょっと神戸の写真をお休みして今日は最近のできごとについてお話を。

まずは本日の我が家の紫陽花の様子です。
私は雨が好きなので、当然のように紫陽花も大好きで庭に10株ほど植えていますが、この紫陽花が一番古株です。これ、何株からか出てるんじゃなくて一つの株からいろんな色が出てるんですよ。5色はありますよね。裏の方にはもうちょっと違う色も咲いてるんですよ。
これだけあるのに先週の土曜日、買い物に行った時また一株買ってしまったのでした(笑)

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| 2017.06.16 Friday |
第二章 困惑 〜気にしないように〜

唐突に嘘の告白をして以来、お兄ちゃんからの連絡はなかった。
困っていたのか、避けられていたのか、それは分からなかった。
でも一つだけ言えることは、彼には、由香を好きだという気持ちは、毛頭なかったのだということ。もし、少しでもそんな気持ちがあれば、電話の1本くらいあるはずだ。

そんな思いを抱えたまま半月が過ぎ、次のサークルの日がやってきた。
その日のサークルは、ドライブだった。
車を持っている男性4人が、自らの車を運転して、待ち合わせ場所にやってきた。
ボーリングの時のように、チーム分けがあり、くじ引きで誰がどの車に乗るか編成された。
よりによって、由香はお兄ちゃんの車に乗ることになってしまった。
助手席には伊藤さん、由香と久美ちゃんが後部座席に乗った。

「じゃ、出発するぞ〜」
お兄ちゃんのかけ声で、4台の車は一斉に動き出した。
伊藤さんと久美ちゃんは、これまでのサークルの話や、学校の話でワイワイやっていたのに、お兄ちゃんと由香は静かだった。その光景をおかしいと思ったのか、伊藤さんが言った。
「おい、新井、由香ちゃんも、今日はやけに静かだな。居酒屋の時の元気はどこに行ったんだ?」
「ホント、どうしちゃったの?」
久美ちゃんも伊藤さんの言葉にうなずきながら言った。
「運転手は黙って運転しないと。事故でもしたら大変だからね」
お兄ちゃんはそう言って笑った。
黙り込んだままで、変に思われるとマズいかなと思った由香は
「あ、この前は遠いところ送って頂いてありがとうございました」
と、居酒屋の帰りのお礼をお兄ちゃんに言った。
お兄ちゃんも、由香の気を遣った言葉に反応して
「いえいえ、女性を送るのは当然のことですからね。僕は紳士ですので」
と、戯けたように言った。
そのとき、由香はルームミラー越しにお兄ちゃんと目が合ってしまい、慌てて下を向いた。
それ以降、また由香とお兄ちゃんのあいだで、会話は途絶えてしまった。

由香は、その後ずっと、あの時、自分が座っていた、そして今は伊藤さんが座っているお兄ちゃんの車の助手席を、少し不思議な気持ちで後部座席から眺めていた。
 
車は山道を登り、広場に着いた。
「それじゃ、お昼にしようか」
そんな言葉が聞こえ、コンビニで買ったお弁当が、みんなに配られた。
「弁当とお茶は新井が買ってきてくれたので、それぞれ彼にお金を払って下さい」
伊藤さんの言葉を聞いて、みんな一人ずつお金を払いに行った。
しかし、由香は財布が鞄の奥に入り込んでしまって手間取り、最後の支払者になってしまった。
周りを見るとみんなすでに座ってお弁当を食べ始めていた。
「あの…いくらですか?」
由香がお兄ちゃんに声をかけると、彼は
「いいよ。おまえからお金をもらう気はないから」
と言って立ち去った。かと思うと引き返してきて
「その白々しい敬語はやめろよ。それと、この前のことは、お互い気にしないようにしよう…な」
と、少し笑顔を見せながら肩にポンと手を置いて行ってしまった。
その「気にしないように」という言葉をどう理解したらいいのか、由香はお弁当を食べながら、ずっと考えていた。
おまえから聞いた告白は、なかったことにしようということなのか、聞いたけど、今日は気にしないでおこう、ということなのか。
その後もずっとそのことを考えていた。だからお弁当を食べた後、何をして過ごした全く思い出せなかった。

覚えているのは、夕方近くになって、急に大雨が降ってきたこと。
早めに切り上げようということになり、みんな慌てて近くにあった車に乗った。行きとは違う車に乗った人も多く、由香も他の人の車に乗り込んだ。
結局、あれっきり彼と話しをすることはなかった。

ちょっと寂しいような、でもホッとしたようなそんなサークルの一日だった。



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| 2017.06.14 Wednesday |
梅雨になる前に神戸まで 5
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前回の続きです。
去年も行ったのですが、絵はがきをメインに売られている文房具屋さんです。
趣味の良い海外ものの文房具が多いです。

この辺りの雰囲気はレトロモードがいいよなぁと思っていたらそればかりで撮ってしまって、普通のモードの写真がほとんどありませんでした(笑)
あしからずごらん下さい。
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| 2017.06.12 Monday |
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