初めての恋が終わった。
始まった恋の話をしたこともなければ、もちろんのこと、非情に終わった恋についても、誰にも話すことはなかった。
恋が終わりを告げたすぐあと、修学旅行があった。3年になると受験で忙しくなるので2年で修学旅行に行くことになっていた。行き先は北海道、6泊7日の旅。往路は寝台列車で、復路は飛行機での移動ということだった。
グループ分けされ、旅行なんてどうでもいい私は、人数が足らない、クラスでも未だに顔と名前すら一致しないような大人しい子たちのグループに入ることになった。
休み時間になるたび、持ち物や自由行動についてみんな楽しそうに話していた。私は反吐が出そうな顔をして彼女らのざわめきから遠ざかろうとした。
「あ、あの…自由行動について何をするか、午後のホームルームで提出することになってるんだけど…」
顔と名前も一致しない私のグループの子が、立ち去ろうとする私に声をかけた。
「あなたたちの好きにして。どうせ私は自由行動なんて参加するつもりないから」
困った顔をする彼女らの視線を無視し、私は午後の授業とホームルームには出ずに早退した。
翌日、私の机の上には彼女らが決めたであろう、札幌市内での自由行動の内容が書かれた紙が置いてあった。
『ラーメン横町でラーメンを食べて、大通り公園を散歩、雪印パーラーでパフェを食べる』
つまんない計画…その言葉は口に出さなかったが、私はその紙を無造作にたたんで鞄にしまった。
本当に本当に、心底どうでも良かった。
元々修学旅行なんて興味がなかったのに、ハジメとのことがあって私は何もする気がしなかった。何も考えられなかった。