2年になっても、門立ちの時は遅刻をしていくスタンスは変わらなかった。
その日も門立ちをスルーするため、3時限目の現国から出席した。後ろのドアから入り、いつも通り自分の机に鞄を放り投げ、席に着いた。机の中から現国の教科書をとりだして教壇を見ると教師がいない。
「あれ?西村、どこ行った?」
私が隣の席の子に聞くと、彼女は無言で窓の方を指さした。彼女が指さす方向を見ると教師は窓際で教科書を持ったまま、怯えた顔で私の方を見ていた。と次の瞬間、うっすら涙を浮かべながら教室から出て行ってしまった。
私は訳が分からなかった。私は何もしてないし、何も言ってない。でも明らかにあの教師は私を見て逃げ出したのだ。
「何なの?」
私のつぶやきに前の席の子が言った。
「西村先生、あなたが怖いんだって。この前、あなたが遅刻してきたとき、あの人怖いからいなくて良かった、みたいなこと言ってたよ」
「は??何それ」
生徒を怖がるってどういうこと?教師がいなくなってザワザワした教室で私は一人考えていた。