雨の街角

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| 2019.08.11 Sunday |
夏の思い出 5


朝早く出て来たものの、海に到着したのは昼前だった。
鞄を取ろうと私は後部座席を振り返った。その時、段ボールに入った大量の本が目に入った。
「ね、この本、何?」
「何って、今から読むんだよ」
「今からって、海で読むってこと?」
「うん、海は本を読む場所だからね」
そう言うと、彼は、車の後部座席に置いてある、ぎっしりと本が詰まった段ボールを持ち出し、車のドアをお尻で閉めた。
『変な人…何で、海に行くのに本なんて持って来るかな?それもあんなにたくさん』と私は思ったが、それを口に出すのはやめた。

「俺は理工学部専攻してるんだけどさ、得意分野は国語。現国も古文も漢文もOK。国語は何でも大丈夫なんだよね。趣味は読書だし」
「じゃ、なんで文系じゃなくて、理工学部に入ったの?」
「よくぞ聞いてくれました。得意分野に進むよりも、あえて不得意な分野に進むのって、格好よくない?前から向かってくる風を切って走るみたいな感じで」
彼は自慢げにそう言った。
「何、それ。でも私の学んでる栄養学も理数系なの。高校の時の成績、数学、科学、物理は3年間通して4か5じゃないと入れないんだよ。それにうちなんて解剖まであるの、医学部みたいに。でも、私も一番好きな教科って言われると国語なんだよね」
「じゃあ、おまえも俺と一緒で、向かってくる風を切って走ってるんだ?」
二人は顔を見合わせて笑った。

笑いが途切れないうちに私は聞いた。
「そうだ、どうして海で本なんて読むの?」
「海で本を読んだら、波の音がBGMになっていい感じなんだ。前にバイクが好きって話したでしょ?高校の頃はバイクで海まで走って、そこで本を読む、なんてことしていたけど、最近はバイトや学校が忙しくて、そんな時間もないんだ。せっかく本を買ってもなかなか読めないし、今日は久しぶりに本を読もうと思って持ってきたんだよ」
私は『ながら』で何かを出来ないタイプなので、音楽を聴きながら本を読むということはなかった。が、波の音を聴きながらいうのなら、それはすごく素敵なことに思えた。

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| 2013.08.30 Friday |
夏の思い出 4
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小学校、中学校と来たら次は高校。
けど、どれだけ思い返しても高校1年の夏休みの記憶が全くといっていいほど思い出せない。

前記事で書いたように、中学時代、あまり良い思い出がなかった私は、同じ中学の子がほとんど行かない高校を選択した。これまでの私を知らない人たちの中で、これまでとは違う人生を歩みたいと思っていたのだろうと思う。高校に入れば同じ中学の子もいなくて今までとは違う、とても楽しい学生生活を送れると思っていた。
けど…そんなことはなかった。

まず高校の入学式の数日前、病気になってしまい、高校に通い始めたのが一月近く経った頃だったところからつまずいた。高校生活に出遅れた私は、上手く友達を作れず、その後、紆余曲折があり、不良と呼ばれるようになっていた。だから楽しい高校生活を送ったとはとても言えなかった。
ただ、まじめ一本の中学までとは全く違う学生生活を送れたとは思うが(笑)
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| 2013.08.20 Tuesday |
夏の思い出 3
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中学生になった私。
小学生だった頃と夏休みの宿題もすっかり変わった。
小学生の頃にあったドリルも日記もなくなり、立体地図の作成、理科の自由研究、相変わらずあった読書感想文…
一番困ったのが音楽感想文だった。
クラッシックの音楽を1曲聴いてその感想を書くというものだったが、それまでクラッシックなど聴いたこともなく、何を聴いていいのか分からない。もちろんクラッシックのレコードなど持っている訳もなく。

そうして私は一人バスに乗って繁華街までクラッシック音楽のカセットテープを買いに行くことになったのだった。

中学に入ってすぐ引っ越したので、以前住んでいたところからは繁華街が随分遠くなってしまった。小学生の頃に住んでいた場所は繁華街までバスで15分ほどだったけど、引っ越し先からはバスで小一時間かかった。そんなに長くバスに乗ることもなければ、一人で繁華街に行くのも初めてのことだった。

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| 2013.08.15 Thursday |
夏の思い出 2
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前回に引き続き、小学生の頃の夏の思い出を。

田舎に帰るのはちょうどお盆の頃。田舎から帰るとともに、残り少ない夏休みをとても残念に思うのだけど、私には夏休み最後のお楽しみがあった。
それが「地蔵盆」だった。
地蔵盆は京都、それも市内中央部ではかなり重要な行事だった。地蔵盆とは町内に奉られているお地蔵様(写真は私が小学生の時に住んでいた町内のお地蔵様です)を祠から出していつも子供を守っていてくれることへのお礼をするというのが本来の意味なのだが、子供にとって重要なのはそこじゃなかった(笑)

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| 2013.08.08 Thursday |
夏の思い出 1
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前回書いたようなことで、悲しかったのと忙しかったので、なかなか更新に至りませんでした。
またコメントへのお返事も大変遅れまして申し訳ありません。
前記事のことについては相変わらずの悲しみを引きずっておりますが、ぼちぼちと更新していこうと思いますので、またおつきあい頂ければ幸いです。

さて、タイトルにも書いたように、しばし私の夏の思い出についてお話させて下さい。

まずは小学生の頃の思い出から。
写真は私の両親の田舎です。
両親は中学の時からの同級生で、大学は父が京都、母が神戸と今でいう遠距離恋愛だったそうですが、その後めでたく結婚に至ったそうです。
なので、私には田舎は一つしかありません。
そんな田舎は今じゃ高速で2,3時間ですが、高速がなかった頃は相当な時間をかけて帰省していました。
田舎にはお盆と正月しか帰れませんでしたが、たまにしか帰れないこともあって、そりゃ楽しみでした。
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| 2013.08.03 Saturday |
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