雨の街角

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| 2017.12.12 Tuesday |
第六章 苦悩 〜可愛い顔をして強引な男〜

しかし、ノボルから電話があったのは、そのすぐ後のことだった。
「由香ちゃん?俺、ノボル。さっきは送ってもらってありがとう」
「何でうちの電話番号知ってるのよ?」
「ごめん。克己から聞き出した。どうしてももう一度会って欲しくて」
「私、彼氏がいるから」
「知ってる」
「知ってるのなら…」
「彼氏がいたって友達にはなれるよね?克己だって友達なんでしょ?」
「分かった、分かった。じゃ、あなたと私は友達。それでいいでしょう?じゃあね」
面倒になり、由香はノボルの次の言葉も聞かずに、電話を切った。

その「分かった」という言葉をどう解釈したのか、ノボルは電話を切った数時間後、また電話をしてきた。
「今、由香ちゃんちの近くまで車で来てるんだ。家まで行くから、ちょっと出てきてくれない?」
「あなたねぇ、一体、何考えてるの?困るよ、突然来られたって」
由香は怒りながら答えたが、ノボルは怯んだ様子もなく言った。
「だって、このくらいしないと会ってくれないでしょ?とにかく出てきてね。家の場所は克己から聞いたから」
そう言った瞬間、電話は切れた。
ノボルは、女の子みたいな風貌の割には、かなり強引な男だった。

「汚い車でしょ?由香ちゃんの車に比べたらボロボロ。でもこの車、可愛い奴なんだ。俺の大事な相棒」
由香が彼の車に乗った途端、聞いてもいないのに、ノボルは一人話し始めた。
「車も好きだけど、単車も好きなんだ。夏休みになったら、いつも単車でひと月かけて北海道をまわるんだ。金がなくなったら喫茶店とかレストランとかバイトさせてくれるところを探して、いくらか稼いだらまた出発って感じでね。北海道はそういう単車野郎がいっぱい来るから仲間も出来て楽しいんだよ」
何も言わない由香に、ノボルは一人話し続けた。
「俺、喫茶店で会った時から、一目見て由香ちゃんのこと気に入ったんだ。克己からは、由香は彼氏がいるから駄目だって言われたけど、他の子は目に入らなかったし」
「そう…」
由香は、ノボルの方を見る訳でもなく、ずっと窓の外だけを見ていた。

「今、克己と同じ学校に通っているんだ。って、そんなこと言わなくても知ってるか。でも由香ちゃんは絶対に知らない、すごい話があるんだよ」
そんなことを言えば「何々?」と興味を示すとでも思ったのだろうか。由香は余計しらけてしまい、深いため息をついた。そんな態度にも、ノボルは全く動じなかった。
「これでも、ロッカーでね、俺。今は髪も短くしちゃったけど、バンドやってた頃は、床に着くほど長い髪だったんだ」
「床に着くほど?」
ノボルは『待ってました』とばかりに、由香の方を見て、にっこり笑って言った。
「やっと口を利いてくれたね。良かった。ずっと寂しそうだったから」
「寂しそう?私が?そ…うだね」
由香は窓の外にあった視線を膝元に落としながら言った。
「彼氏がいるって聞いてたのに、寂しそうな顔してたじゃない?喫茶店でもボウリング場でも」
「誰かと賑やかに楽しく騒ぐような気分じゃないの。今日も克己に合コンしようって言われて、嫌々メンバー集めただけだし。彼も、元気がない私を心配して声をかけてくれたとは思うんだけど」
このとき、由香は、初めてノボルと会話らしい会話をした。
「俺、由香ちゃんに見てもらおうと思って、張り切ってスコア230も出したのに、チラッとも見てくれなかったよね」
ノボルは苦笑いしながら言った。
「230?上手なんだね」
「ボウリング場でバイトしてるから。営業が終わった後、練習してるんだ」

可愛い顔して強引なノボルは、こうして由香からすんなりと会話を引き出した。
『そういえばお兄ちゃんとも初めこんな感じだった。全く口を利かない私に、お兄ちゃんはしきりに声をかけてきたんだった』
由香はまた、お兄ちゃんを思い出していた。



〜少し変わった性格の子〜

ノボルが乗っていた車は彼がいうほどボロボロではなかったが、71のスプリンタートレノと同時期(70型)の白いスプリンタークーペで、当時10年ちょっと前の車だった。TE71のトレノはその後発売されるAE86トレノに比べるとあまり人気はなく、あれなら私も70型のスプリンタークーペの方がいい形をしていたと思う。
というか、86にしてもそれが現役の頃よりも後継の92が出る時にFRからFFになると聞いたFRファンがこぞって86推しをしたようなところもあったと思う。
ノボルは少し変わった性格の子だった。独自の世界観を持っていたというか。
同じクーペでもスプリンタートレノではなくスプリンタークーペを買う辺りもそう思った。
「マーク2三兄弟でマーク2を買う奴の気が知れない。自分なら間違いなくチェイサーを買う」とよく言っていた。三兄弟の中で一番人気のなかったチェイサーを(笑)またインテグラのことをいつまでもクイントと呼んでいた。

車に興味のない人には全く???って話題ばかりでしたね(笑)

ノボルは克己主催のコンパに来たくらいなので克己とは友達だった訳だが、性格は全く違っていた。だからか、あまり仲良くはなかったようで、たまたま同じ学校の同じクラスというくらいの知り合いだったようだ。
彼と出会って少しずつ私の中で変化していく心を感じていくのだけど、それはあまり良い変化ではなかったかもしれない。それは彼が悪い訳ではなく、彼がお兄ちゃんに似ているところがあって見ていて辛いことが多かったから。
その様子はお話の中で徐々に明らかになっていきます。

ノボルともいろんな意味で腐れ縁というか、切れない関係になっていくというか…
変な繋がりを持つようになっていく。

彼からは5年ほど前から年賀状が届くようになった。それまで20年近く音信不通だったのに。
ただし、彼から届く年賀状は未だ私の旧姓で実家の住所に届くところがちょっと怖いのですが(笑)彼は私が結婚したことを知っているし、彼も私が結婚して数年経った頃、結婚をしたと手紙が来たのだが…「由香が結婚したから遠くで見守るという俺の役目も終わったってことで俺も結婚します」と。
だからこそ旧姓で届く年賀状をどう理解したらいいのか分からず、私はその年賀状に返事をしたことがない。


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| 2017.10.05 Thursday |
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| 2017.12.12 Tuesday |
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