雨の街角

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第一章 嫌悪 〜のんちゃんからの電話〜

「もしもし?由香?久しぶり。私、典子」
典子、通称のんちゃん。
彼女は由香の小学校の時の友達で、かなりの才女だ。全国的にも有名な某四大に、上位の成績で入学した。
中学に上がる時、由香は引越したのだが、未だつきあいは続いていて、それはもう10年以上になる。

「本当に久しぶりだね。のんちゃんのところも今日入学式だったの?」
「うん、そうだよ。由香ったら、高校も女子校だったのに、大学まで女子大に行かなくても」
「女の園も、馴れたらそれなりに面白いこともあるよ」
「そう?私には考えられないな。まぁ、それはいいんだけど。由香、前にサークルなんて興味ないって言ってたよね?」
「うん、ないよ」
「良かったぁ。じゃ、どこのサークルにも入ってないってことだよね」
「もちろん。けど、まさかのんちゃんまでサークルの勧誘じゃないよね?」
由香は、眉間に皺を寄せながら聞いた。
「あ、分かった?」
「入らないよ、私、絶対」
「大学の先輩が作ったサークルで、男はみんなうちの大学の人なんだけど、女の子はいろんな大学から集まって来るの。一度だけでいいから来て。それでもし由香が嫌だったら、それきりでもいいから。作ったばかりで人数が少ないんだ。お願い!」
のんちゃんは、由香の言葉など、全く意に介さず話し続けた。
「私、本当にサークルには興味ないの。決まった何かをするっていうのも苦手だし。それにサークルなんて入る暇があったらバイトしてお金儲けしたいの」
「大丈夫、うちは決まったことをするわけじゃなくて、今日はボーリング、今度は飲み会って感じで毎回違うことをする、非常に適当なサークルなの。先輩たちもみんなバイトしてるし、バイトしながらでも平気だから」
「私はいいよ。悪いけど、誰か他を当たって」

そんな押し問答はしばらく続き、由香はその後もかなり抵抗した。しかし、結局のんちゃんに押し切られ、次の土曜日のサークルに顔を出すことになってしまった。
「じゃ、楽しみにしてるね」
のんちゃんは、嬉しそうに電話を切った。
彼女の弾んだ声とは裏腹に、由香の心にはどんよりとした重い空気が流れていた。



〜のんちゃん〜

のんちゃんは小学校1年から6年までずっと同じクラスで仲良しだった。
毎日のようにお互いの家を行き来し、交換日記をし、高学年になると、夜電話で話した。お互いの親に「毎日学校で会って放課後もいつも遊んでるくせに何の用事があって夜まだ電話しなきゃいけないの!」と怒られながら。

あの頃はまだそれほどみんな興味がなかった英会話を習おうよと誘われ2年間一緒に通った。彼女は他にお姉さんと一緒に乗馬もやっていて、それも誘われたけど、当時英会話の他そろばん、学習塾、ピアノ、習字…と月曜から土曜日まで毎日習い事をしていた私は親に「これ以上習い事はしなくていい。一体いくらかかってると思ってるの。それに乗馬なんてお金持ちのお嬢さんだけがするものよ!」と怒られたのでそれは断念した(笑)

彼女は勉強が出来て絵が上手で運動神経抜群で格好良くて、家が商売をされていたのでお金持ちで…なのに全く気取りのない素敵な女の子だった。小学生ながらに「こんな人になりたい」と思うような憧れの子だった。
なんでこんな子が私の友達でいてくれるのだろうと思うほどの。

私が彼女に一番感謝したのが小学校5年の時だった。
学校でちょっとしたイジメブームみたいなものが起こり、その標的が私になったことがあった。
親分的な存在の子が私を責め始めると、みんな揃って私をイジメた。
しかしのんちゃんだけは違った。
「この子は何もしてないじゃない。昨日まで仲良くしてたのに、なんで突然そんなこと言うのよ。卑怯だよ、1人対クラス全員なんて。言いたいことがあるなら一対一で正々堂々とやりなよ!」とみんなに向かって怒った。
彼女の言葉に同意したクラスの子は一転して私へのイジメをやめた。
のんちゃんはすごいと思った。下手したら自分も同じようにイジメにあっていたかもしれないのに、1人でクラス全員の子に立ち向かって私を守ってくれた。
随分後に彼女にその話をしたが「そんなことあったっけ?」と覚えてもいなかったけど。

文章の中にも書いたけど、私は小学校を卒業したとき引っ越したから中学からは彼女と別れてしまったが、中学になっても時々バスを乗り継いでお互いの家に遊びに行った。高校になると二人とも忙しくなり、会う機会は減ったがそれでもつきあいは続いた。
そして彼女は某四大を卒業し、大手デパートに就職した。外商と売り場を数年ずつ経験したあとバイヤーになり、東京本店に転勤となり、そこでチーフバイヤーになった。本当にすごい人だと思った。

たった一つ彼女に悪い点があったとすれば男を見る目がなかったということかもしれない。
というか彼女が好きになる人は既婚男性が多かったのだ。
本当にいろいろあった。彼女のプライバシーに関わるので詳しくは書けないけど、様々な相談に乗り、いろんな修羅場にもつきあった。
そして彼女は今でも独身だ。多分一生独身だろうと思う。
けど、それもまた彼女が彼女である所以なのだろうなと思う。


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| 2017.04.12 Wednesday | ニタモノドウシ | comments(8) | - |
Comment








こんばんは(^^♪
ついつい、最後まで読んでしまいました。
面白いお話といっていいのか、引き込まれてしまいました^^
posted by tazu | 2017/04/12 12:39 AM |
合コン的なサークルなんだなと、その年代でその話なら私も乗れない
感じだったろうな。大人になり今なら気軽に加わることもあろうかと
えるですが。若い年代で適当に、なんて出来なかったです。
ところで最後の2行、なんだか私が友人に言われてそうな言葉みたい(笑)
それもまた彼女が彼女である所以なのだろうってトコに反応しちゃ
いましたよ。
posted by mellow-mix | 2017/04/12 11:26 AM |
典子さん、男を見る目がないというよりも、出来すぎて既婚者を好きになっていたんだと思います。
既婚者は色んな経験積んでいて、若い女性から見れば、頼りがいがあるのは、当たり前だと…。
でも、恋の相手にしてはいけないな〜。
のんちゃんは、さばけ過ぎて同世代は物足りなかっただろうと思う。
これも、運命ですね。
posted by SONIC800 | 2017/04/12 10:38 PM |
>tazuさん

こんにちは。
長々と続く話なので、面白いところまではいってないと思いますが、良かったらまた目を通してみて下さい。
ちょっとした裏話みたいなのも書いていこうと思うので。
posted by 小雨 | 2017/04/13 11:55 AM |
>mellow-mixちゃん

クラブの延長って感じのサークルではなかったですね。
毎回何をやるか決まってないってところが。
みんなで寄ってワイワイ騒ぐのが目的みたいなものかな。
私が思っていたほど、誰と誰がつきあってっていうのはなかったけど。
っていうか、自分がそれになっちゃう訳だけど(笑)

あぁ…自分に言われてるように思っちゃいましたか。
私は結婚する人もしない人も、離婚する人も再婚する人も、そりゃ人それぞれでその人の人生で、どうなったとしてもいろいろあるんだろうって思ってます。
のんちゃんも始めは結婚結婚って言っていましたが、30を越えた辺りから一切言わなくなりましたね。
「結婚してたら仕事出来るか!」って言ってました。
posted by 小雨 | 2017/04/13 11:58 AM |
>SONICさん

そうですねぇ、のんちゃんはSONICさんが言ってたようなそのもののことを言ってました。
同年代〜10歳年上くらいまでの人は頼りがいがないのと話しが合わないと。
一緒に遊ぶとか仲間としてなら考えられるんだけど、つきあう人となるとものたらないようです。
だから私が10歳年上の人と結婚するって話しを聞いた時「どうやって10歳も年上の結婚してない男を見つけられるんだ!」って言ってましたよ(笑)
posted by 小雨 | 2017/04/13 12:01 PM |
わたしは、嫁さんと12離れてます(笑)。
嫁さんも同じこと言ってたような…。
今は立場逆転してますかが…(爆)。
posted by SONIC800 | 2017/04/13 12:10 PM |
>SONICさん

え〜〜〜〜〜〜そうなの〜〜〜〜〜?
知らなかった!!(笑)
一回り違うんですね。
うちの会社はちょっと変わってて、嫁さんが一回りとか10歳年上って人が多いんですよ。
posted by 小雨 | 2017/04/13 1:12 PM |
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