雨の街角

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第一章 嫌悪 〜サークル〜

「由香、由香、ね、もう決めた?」
そう言って、後ろから抱きついて声を掛けてきたのは、智美だった。
智美は高校の時からの同級生で、同じクラスになったことはなかったが、何となく気が合い登下校を共にする友人だった。
智美の後ろには、同じく高校の時の友人が、数人連なっていた。
「何よ、いきなり。びっくりするじゃない。決めたって、選択教科のこと?まだ決めてないよ。内容もよく分からなかったし」
由香は、しかめっ面をしながら答えた。
「選択教科?何言ってるの。私が聞いてるのはサークルのこと、サークル」
智美はサークルの部分だけ、やけに強調しながら、興奮気味に言った。
「サークル?」
「そう、サークルよ!どこに入るの?私はねぇ…」
「サークルなんて入る気ないよ。そんな、飢えた女が、ギラギラした目で男探しするようなところ」
由香は智美の言葉を遮りながら答えた。
「また始まった、由香の男嫌い。そんなこと言わないで、一緒に入ろうよ。テニスサークルなんだけど。コート、うちの学校からすぐのところだし」
智美は、由香の冷たい言葉にもめげずに言った。
「だ、か、ら、私は入る気ないって」
由香は、心底嫌そうに答えた。

私立の高校を卒業し、エスカレーター式の女子短大に入学した彼女たちは、今日が入学式だった。
式のあと、講堂に残された新入生たちは、必須教科や選択教科、単位や優良可などという話を頭に詰め込まれ、帰路に着くところだった。
みんな、期待と夢で高揚した様子だった。
しかしその高揚は、決して数日後から始まる講義に対するものではなく、サークルに向けられたものだった。智美に限らず、選択教科について関心を持っている友人など、誰一人としていなかった。

彼女たちが通う短大には、少し離れたところに姉妹校のような共学の四大があり、そこの学生が主催するサークルに入る子が多かった。
智美の後ろに連なった友人たちも、それぞれ違うサークルではあるが、その四大のサークルに入るのだと、口々に話していた。

「じゃあね」
由香は智美たちに手を挙げて門を出た。
智美はまだサークルの話をしたそうだったが、そんな目線を無視して、由香はその場から立ち去った。

「サークルねぇ…」
智美を初めとして、友人たちの高揚した様子が浮かんだ。
由香にはサークルなんていうものの大事さや楽しさが、さっぱり分からなかった。
そこまでして男探し、女探しがしたいのだろうか?恋人が欲しいのだろうか?異性と接点が欲しいのだろうか?
心の中で自問したが、答えは出なかった。


〜大学生活のはじまり〜

今もサークル命っていう感じなのでしょうか?大学生活。
私の頃はそんな感じでした。入学式の時から…いや高校を卒業する頃からみんなサークルの話ばかりしてました。
短大の時、同じクラスで仲の良かった子が3人がいました。そのうち1人だけは学校のテニスクラブに入ったのですが、クラブに入る子なんてほんの一握りもおらずたいていの子はサークル、サークルでした。仲の良かったその他2人も他校のテニスサークルに入りました。
彼女たちはサークルに行き始めてすぐから、何とか先輩が格好いいだの誰々くんが男前だの優しいだの、男の人の話ばかりしていたので、やっぱりサークルって男探しの場なんだなと思いながら見ていました。

大学の入学式のことはよく覚えていませんが、単位がどうとか優良可がどうとか、必須科目に不可があると翌年も同じ科目を取り直し、可以上を取らなければ卒業出来ないと言われたことはよく覚えています。そして私は本当に1科目だけ必須科目で不可を取ってしまい、2回生になってからも1回生たちに混じってそれも一番前の席で同じ科目を取ることになったのでした。まぁ勉強どころじゃないいろんなことが出来てしまったんですね(笑)

しかし当時の私はと言えばここにも書いたように入学当時はサークルなんて全く興味なく、必死でバイトを探していました。
お金が欲しかったのです、どうしても(笑)
割のいいものを探して見つけたバイトは周りの子たちから敬遠され、時には軽蔑され(失笑)やめなよと止められましたが、私はそのバイトをほぼ2年間続けました。今から考えてもよくあんな仕事が出来たなと思いますが、でもあの仕事を経験することが出来て、本当に良かったと思います。
どんなバイトかというのはまたこのお話の中で追々出てきますので、そのとき詳しくお話しますね。

さて、今回の写真は実際に私が通った短大の校舎です。
門は当時と同じなのですが、今は門に向かって左側に入ると四大があります。私はその四大の方には今でも仕事でちょくちょく行きます。時々話しをしている私の母校(高校)の仕事で楽器を運ぶために。
四大じゃなくて短大の方だったら懐かしいなとウロウロしてみるのですが、大学は私が通っていた頃にはなかったので、同じ場所にあるのにいつ行っても何の懐かしさもない場所です…

短大の前にはファミレスが2軒とオートバックス、それから本屋さんがありました。今はファミレスが1軒残っているだけで他はすべてなくなってしまいました。
あと、少し奥まった場所に洒落たイタリアンの店があってそこにもよく通いました。そのお店も今はもうなくなってしまいました。
ただ、残骸のように店の形だけが残っていてそれが「夢のあと」を感じさせ、余計寂しさを感じさせてしまうのです。


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| 2017.04.07 Friday | ニタモノドウシ | comments(4) | - |
Comment








近くにニュータウンがあるところ?そこの校名に見えるような。
南側になるのか、本屋さんがあったのは記憶があるのですが…。
お年頃です。サークルに入ろうが入るまいが、起こるべくして起
こる恋の話は多かろうかと・・・!
良き時代(想い出深い時代)にあったお店がなくなるのって、寂し
いですよね。儚い感じになるじゃないですか…。
posted by mellow-mix | 2017/04/07 12:57 AM |
大学のサークルって、日本独特のものなんでしょうね〜!?
大学受験で遊べなかった分、取り返してやるみたいな…。
お金、分かります。
わたしもそっち派でした。
引っ越し、工場、バイクメーカー、ビル清掃、家具屋、事務器メーカー。ほぼ、肉体労働(笑)。
稼いだ金で、カメラ買いました。
↑ ↑ ↑ ↑
う〜ん、全然成長しとらん!(爆)
posted by SONIC800 | 2017/04/09 11:41 PM |
>mellow-mixちゃん

そう、そこ(笑)
本屋さんの隣にオートバックスがあったの。
オートバックスと本屋さんの駐車場が一緒だったんじゃないかなぁ。

女子大だとサークルおよび合コン辺りでないと異性と知り合うきっかけがなかなかないといいますか(笑)
みんなが必死になっていたのも今ならよくよく分かります。

昔よく行ったお店で残っているところの方が少ないのだけど、mellow-mixちゃんが言う通り良き時代のお店がなくなるっていうのは思い出までなくなるようで寂しいですね。
posted by 小雨 | 2017/04/09 11:53 PM |
>SONICさん

日本以外でもサークルってあるんですかね?
聞いたことはないですが(笑)
私がお金が欲しかったのはまぁ分かると思いますが、車を買うためでした。
私も今でも欲しいものが出来ると稼いでいるので一緒ですね。
稼ぐ内容はあの頃とは違いますが(笑)
成長してないのはお互い様ってことで。
posted by 小雨 | 2017/04/09 11:55 PM |
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