雨の街角

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最後の電話で


「そういえば、花見、行けず終いだったね。覚えてる?約束したこと」
「確か、居酒屋に行ったあと、おまえを送って行ってやった時、そんな話をしたんだったよな」
「よく覚えていたね」
「俺、そんなに物忘れ激しくないぞ」
「でも、私のこと、すぐにでも忘れていたりしてね」
「そんなに簡単に忘れられるようなことじゃ…ないと思う」
「ね、私たちいつか笑って会える時が来るのかな」
「いや、来ないでしょ」
「何で?」
「何事もなかったかのように笑いあえるなら、元々何事もなかったんだよ。何事もあったからこそ、笑ってなんて会えない。二度と」

彼の言葉が、私の心に重く重くのし掛かっていた。
でも、その通りだと思った。
今までつきあって来た何人かの恋人たちのほとんどを別れても友達と呼んでいたし、実際に友達としてのつきあいを続けていた。
しかし、この人と別れた後、私は彼のことを友達なんて絶対に呼べない、そう思った。
「蹴上」と書かれたこの場所に来るたび、私は彼とのあの会話を思い出す。

私は彼のことが本当に好きだった。
もうどうしたって戻ることが出来ないほど過去の話なのに、彼のことを思えば未だに涙が零れるほど、私は彼が好きだった。
それなのに、別れなければならなくなり、最後の電話でさっき書いたような会話をしたのだった。


初めて彼に家まで歩いて送ってもらったとき、ヒラヒラと桜の花びらが散ってきたのが見えた。
「今年はもう桜も終わりだけど、来年の春は花見に行こうな」
彼が言った。

そして彼とよく行ったのがこの蹴上を山の方に上っていったところにある夜景の名所だった。
「そこのインクラインの線路跡地、春になったら桜のトンネルになるんだって。綺麗だろうなぁ」
と、ここを通る時、彼が言った言葉。

蹴上は彼との楽しかった思い出と、一緒に見られなかった桜の名残が心に刺さる場所。


今回はいつもの写真紹介から少し離れて昔話をしてみました!


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| 2013.04.14 Sunday |
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