雨の街角

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第六章 苦悩 〜目に見えない厚い壁〜

「外で待っててくれる?もうすぐ休憩だから、近くの喫茶店でお茶でも飲もう」
お兄ちゃんがそう言うので、由香は外に出て待っていた。
「ごめん、お待たせ。あそこ、いつも休憩のときに行く喫茶店なんだ」
しばらくすると彼が一軒の喫茶店を指刺しながら出て来た。それはコンビニの先から続く商店街の入り口にある、古びた喫茶店だった。
店に入り、お兄ちゃんはコーヒーを2つ注文した。
マスターは、コーヒーをテーブルに置く際
「休憩かい?」
と彼に声をかけ、由香には
「ごゆっくり」
と言って下がっていった。
由香はいつも通り、スプーンをソーサーの奥に置いてブラックで飲み始めた。お兄ちゃんは、砂糖を2杯、そしてソーサーに置かれた小さなミルクポットに入ったミルクを、全て入れてかき混ぜた。
それはいつもと何も変わらない光景だった。
しかし、その日の二人のあいだには目に見えない厚い壁があった。
話したいことがいっぱいあったはずなのに、彼を目の前にしたら、その壁が邪魔をして由香は何も口に出せなかった。
「なかなか連絡が出来なくて…ごめんな」
お兄ちゃんがそう言うまで、二人に会話は全くなかった。
「仕方ないよ」
由香は少し笑って言った。
「駅前だから、ものすごく忙しいんだ、朝も昼も晩も。レジに20人30人と客が並ぶなんて、ザラで。もう毎日てんてこ舞い。レジが切れたら品出しだろう?手が空くのはいつも真夜中で。そんな時間に電話するわけにもいかなくて」
「分かってるって。気にしないで。それより身体は大丈夫?無理してない?」
分かってる…いや、分かってなかった。何も分かりたくなかった。本当は『こんなに会えないほど忙しいならバイトなんてもう辞めて』そう言いたかった。
でもお兄ちゃんにとって、バイトは、遊ぶためのお金欲しさではないことを、十分知っていた。
言えなかった。何も。

「ごめん。もう行かなくちゃ。休憩30分しかないんだ」
そういってお兄ちゃんがすまなそうに立ち上がった。由香は結局、何も話すことが出来なかった。
「ごめんね。急に来て」
「ううん、嬉しかった。ありがとう。また来てよ。先に出るけど、お金は払っておくからお前はゆっくりして行けよ。じゃあね」
「いいよ、そんなことしたら折角のバイト代が…」
と、由香は言いかけたけど、お兄ちゃんは伝票を持った手を振りながら、小走りで行ってしまった。
レジでマスターにお金を払うと、こっちを指差してあの子はもうちょっといるからと言うようなことを言い残してお兄ちゃんは店を後にした。
その後ろ姿を見送った後も、由香はしばらくぼんやりしていた。
どれくらいの時間が経ったのか、分からなかった。コーヒーはほとんど手つかずのまま完全に冷めてしまっていて、もう飲める状態ではなかった。
これからもこんな感じなのかな。もう以前のようには会えないんだな。
覚悟はしていたつもりだったけど、悲しかった。

カウンターの奥にいたマスターに頭を下げ、由香は喫茶店を出た。
車に戻り、彼の働くコンビニをのぞいてみた。帰ることだけでも伝えようと思ったが、コンビニのレジには、彼がさっき言ったように、多くの人が並んでいた。お兄ちゃんはレジを打ち、袋に商品を詰め、忙しそうにしていた。
もちろん、由香の姿に気づくこともなかった。
ドライブモードにシフトを入れ、ターンシグナルを右に出し、静かに車を発進させた。

それ以降も彼からの連絡はほとんどと言っていいほどなかった。
たまに店から電話をくれても
「ごめん、お客さん来たから。また電話するね」
と言ってすぐに切られてしまった。
由香の方もシフト表を見ながら受話器を手にするのだが、彼の忙しそうな姿を思い出すととても最後まで番号を押すことは出来なかった。

そんな日々が続いた。




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| 2017.09.20 Wednesday | ニタモノドウシ | comments(1) | - |
第六章 苦悩 〜会いたい〜

定期便のような、夜9時の電話がなった。
「あ、俺…」
「お兄ちゃん。バイト、終わったの?」
「うん、さっき。あの…ね、今日はおまえに謝ることがあって…」
「何?キスが下手なこと?」
「そういうことじゃ…ないんだ」
冗談が通じない様子だったので、由香はそれ以上、下らないことは言わなかった。

「実はバイト先の店長が、急に辞めることになって、俺に後を見て欲しいって言うんだ」
「え?それって店長になるってこと?お兄ちゃんはバイトでしょう?」
「うん。店長っていうか店長代理だよ。俺は高校の頃からバイトしていて、いろいろ馴れてるし。だから次の店長が決まるまで、店長代理をしてくれって」
「それじゃ、今よりももっと忙しくなるってこと?」
「そうなんだ。今までは週3日ほど夕勤と夜勤やってたけど、学校の講義がない時は昼も入るだろうし、夕勤ももっと多くなる。日曜日もほとんど入ることになると思う」
「そう…じゃ、会える時間、本当に少なくなっちゃうね」
その言葉に、お兄ちゃんからの返事はなかったので、由香は続けた。
「仕方ないよ。お兄ちゃんは学校もあるんだし、バイトと学校の両立だけでも大変だって、分かってるよ。バイト代が家計費になってることもよく分かってるから」
「ごめんな。会えなくても、電話はするから。バイト先の電話番号、教えておくよ。毎月のシフト表も渡すから、俺がいるときには店に電話してきていいよ」
「うん。分かった。身体に気をつけてがんばってね。無理しちゃ駄目だよ」
由香の精一杯の強がりだった。
本当は会えなくなるなんて嫌だと言いたかった。でも、言って困るのはお兄ちゃんだ。
由香は聞き分けのいい女を演じるしかなかった。

それからしばらくして、ポストにお兄ちゃんからの手紙を見つけた。
手紙には「シフト表です。電話していい日と時間帯に丸をしておきました」とだけ書かれていた。その短い手紙を由香は何度も何度も読み返した。
しかし、お兄ちゃんがバイトに入っている日も由香からは電話をしなかった。バイト中に電話したら、彼が困るだろうと思ったからだ。
そして、どれだけ待ってもお兄ちゃんからも電話はなかった。

とうとう、あの電話からひと月が経った。
由香は意を決して、お兄ちゃんのバイト先に行ってみることにした。
コンビニに着き、車を前に止めてしばらく眺めた。ウインド越しにお兄ちゃんが働いている姿が見えた。彼は、コンビニのマークが入ったエプロンをして、レジに立っていた。
由香は客のフリをして、店に入った。
レジを打ち終わったお兄ちゃんは、段ボールから商品を出して、棚に並べる作業をしていた。
「いらっしゃいませ」
由香を客だと思ったお兄ちゃんは、そう挨拶した。
そして、それが由香だと分かった途端、満面の笑みを浮かべ、はしゃいだ声で言った。
「あれ、どうしたの?」
「うん、ちょっと近くに用事があったから、寄ってみた。元気でやってるかなと思って」
用事なんてない。ただ、会いたかった。
でも本当のことは言わないでおいた。
彼の負担になりたくはなかった。



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| 2017.09.15 Friday | ニタモノドウシ | comments(4) | - |
第五章 幸福 〜下手くそなキス〜

小走りで帰ってきたお兄ちゃんは
「はい」
と言って、黒い缶コーヒーを手渡した。
「ありがとう。私のは必ずブラックだね」
由香は笑いながらその缶を受け取った。
「そ、ブラックコーヒーの格好いいお姉さんだからね」
「まだ言ってるの?それ」
「俺にとって、おまえはいつまでもブラックコーヒーの格好いいお姉さんだよ。俺はミルクと砂糖が入ってないと飲めないから、コーヒーは」
「子供だね」
由香はお兄ちゃんのおでこを指でつつきながら言った。
「だいたい、おまえはいつからブラックなんだよ」
つつかれた指を払いのけながら、お兄ちゃんが聞いた。
「高校の頃からだよ」
「可愛くない。女の子ってさ、オーレとか、カプチーノとかが好きなんじゃないの?っていうか、高校生でコーヒー好きってのもあまり聞かないよ」
「いいじゃない。そう言えば、高校の時につきあっていた男が、目の前で強烈にでっかいパフェ食べて、それ見て吐き気がしたことがあった」
「そんな男、おまえから棄ててやったんだろ?」
「ううん、棄てられた」
由香はちょっと肩をすくめて言った。
「嘘、おまえでも棄てられたことあるの?」
お兄ちゃんは驚いた顔で、由香の方を向いて聞いた。
「棄てられたっていうか、二股かけられてたんだよね。だからあんたなんかもういらないって言ってやったの。これって棄てられたのかな?私が棄てたことになるのかな?」
由香が笑いながらそう話した時、お兄ちゃんの目は笑っていなかった。そのまましばしの時間が経った。

「お兄ちゃん、どうしたの?」
そう聞くと、やっと我に返ったように
「あ、ううん」
とだけ答えた。
「今日、ちょっと変だよ」
「バイト入れすぎて、疲れたのかな…」
「ごめんね。疲れてるのに、こんな遠くまで連れてきてもらって」
「おまえがせがんだ訳じゃないでしょ?もうちょっとわがまま言ってくれたり、何かせがんでくれていいんだけどな…」
そう話すお兄ちゃんは笑顔だったけど、それはどこか無理をしているような、さっき夜景を見ていた時に感じた少し寂しげな、そんな顔に見えた。
「うん…」
由香は首を縦に振りながらも、今日出会った時からの、少し態度のおかしいお兄ちゃんを不安に思っていた。
それにわがままをいうつもりも、何かをせがむつもりもなかった。そんなこと出来ないと思っていた。
言わなくても、似たもの同士の彼は分かっているのだ。手に取るほどに。
由香の抱える、会えない寂しさも、会いたいと言い出せない強がりも全て。
分かっていても、どうしようもないこともある。
だからわざわざそんな出来ないわがままを言って、困らせたくはなかった。
いつでも彼にとって自分は格好いいお姉さんでいたかった。

この状態は、以前、似ていても駄目なこともあると、彼に説明した内容そのものだった。
お兄ちゃんは、由香の寂しさを知ってもどうにもしてやれなくて、きっと今、辛い思いをしているのだろう。
それなら、何かわがままを言ったなら、何かせがんだなら、お兄ちゃんは少しくらい楽になるのだろうか。

「じゃ、お願いがある…」
由香は真剣な顔で言った。
「何?」
「キスして」
いつもなら、由香がそんなことを言ったら、少し照れくさそうな顔をして「やっぱりそういうと思った」と言って笑うくせに、その時、彼は何も言わずにしてくれた。
その時、コンと音がした。
「今、歯が当たったよね?」
由香が聞くと
「わざわざ聞かなくていいよ。悪かったね、キスもまともに出来ない、格好悪い男でさ」
お兄ちゃんは、照れながら下を向いた。
「下手くそ」
茶化しながら由香が言うと
「下手で結構です!」
と言って、お兄ちゃんはやっと笑ってくれた。
そのくしゃっと笑った顔は大好きないつものお兄ちゃんの笑顔だった。

「さ、じゃ、帰ろうか。もう遅くなったし」
お兄ちゃんの言葉にうなずきながらも、彼ともっと一緒にいたかった。
もっともっとずっとずっと一緒にいたかった。
いつまでもずっと一緒にいて、あの下手くそなキスを受けていたかった。



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| 2017.09.10 Sunday | ニタモノドウシ | comments(4) | - |
第五章 幸福 〜一抹の不安〜

そうこうしているうちに由香の方も後期の講義が始まった。
夏休みだった頃に比べて会える頻度は確実に減っていたが、バイト終わりに迎えに来てもらったり、講義がない時間が合えば飛行機を見に行ったり、波の声を聴きに行ったりしていた。
サークルでも会っていたが、周りに気づかれないようにとお互い妙に避けてしまい、会話もままならなかった。
のんちゃんにも、相変わらずお兄ちゃんとのことは何も話していなかった。
心の中で『ごめんね、騙すようなことして』とは思っていたけど、言い出すことは出来ずに、時は過ぎていった。

「寒くなった頃、連れて行ってやろうと思っていたところがあるんだ」
お兄ちゃんがそう言った時は、すでに初冬と呼ばれる季節になっていた。
「寒くなったら?」
「うん、きっと空気が冷たい方が綺麗だと思うんだ」
そして連れて行ってくれたのは、由香が大好きだと話した街の夜景が一望できる場所だった。
そこは山の中腹にある橋で、観光地としても有名だったが、由香は今まで行ったことがなかった。
彼に手を引かれて連れて行かれて見た夜景は『何万ドルの夜景』とか、『宝石箱をひっくり返したような』という、そんな飾り言葉がぴったりの、いや、それ以上のものがそこには広がっていた。
「綺麗でしょ?」
お兄ちゃんの言葉にも、しばらく返事が出来なかった。
「ホント、ホントに綺麗」
そう答えるまでに、いくらかの時間がかかった。

「おまえだったら、ここにも来たことがあるかなとは思ったんだけど」
「ないよ、ない、ない」
「結構っていうか、相当有名だからね、ここ。前の彼だか、その前の彼だかと来たかなと思って」
「またそんなこと言うの?お兄ちゃんこそ、前の彼女だか、その前の彼女だかと来たの?」
由香は冗談交じりで言ったつもりだったが、彼の方はその時、言い訳をすることも、言い返すこともなかった。
何も言わず黙る彼の姿に、一抹の不安を覚えた。

「冬はね、空気が澄んでるから夜景も星も綺麗なんだよ」
お兄ちゃんは、さりげなく話題を変えた。
「そっか、だから寒くなったらって言ってたんだね」
という言葉への返事はなく、お兄ちゃんはまた、宝石箱をひっくり返したようなその夜景を見たまま黙っていた。
その横顔は、どこか寂しげに見えた。

「さ、行こうか。身体冷えてきただろ?寒いもんな」
「ううん、寒くないよ。私は寒いの好きだし。家でもね、暖房器具は使わないんだ。私の部屋には、こたつとかヒーターとかストーブみたいな暖房器具は置いてないの。だからそれを知ってる友達は冬には絶対私の家には遊びに来ないんだよね」
雰囲気を変えたかった由香は少し笑いながらお兄ちゃんにそう話した。
「いつも頭に血が上っていて暑いんだな」
「もう!そういうこと言ってるんじゃないでしょう?」
お兄ちゃんの口から、つまらない冗談が出たことで、さっきの一抹の不安は少しだけ和らいだ。

小一時間も眺めていたら、だんだん人も増えてきたので、二人は車に戻ることにした。
「俺、缶コーヒー買ってくるよ。先に車に戻ってエンジンかけておいて」
そういってお兄ちゃんは、車の鍵を由香に渡して、自販機の方に走って行った。
『私が彼を思う気持ちは底なしなのだろうか。どこまでいけばその気持ちは最終地点までたどり着けるのだろう…』
走って行く彼の後ろ姿を見ながら、答えも出ない、そんなことを考えていた。



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| 2017.09.05 Tuesday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
第五章 幸福 〜十分過ぎる幸せ〜

元気になったよという連絡がお兄ちゃんからあったのは、彼を車で送り届けてから1週間くらい経った頃だった。
「この前は悪かったな。突然呼び出して、家まで送ってもらって。もう風邪も完全に治ったみたいだよ。ありがとう」
「気にしないで。本当にもう大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫、あのくらいの風邪。それから、来週の土曜日空いてる?この前のお礼にいいところ連れて行ってあげようと思って」
「確かバイトはまだ入れてないと思うけど」
「夜だけど大丈夫かな?あ、でも夜って言っても、この季節なら夕方の6時頃でも大丈夫かな」
お兄ちゃんは電話の向こうで、なにやらつぶやいていた。
「じゃ、4時頃迎えに行くね」
そう言って電話は切れた。

約束の日の夕刻。
車は、東西に流れる国道を西へ走った。
1時間ちょっと走ったところで国道を逸れ、途中から狭い道に入り、舗装された道から、土手沿いの砂利道を進んだ。少し広くなったところで、お兄ちゃんは車を止めて言った。
「着いたよ」
もう辺りは暗くなっていて何も見えなかった。
「何があるの?」
由香はお兄ちゃんの膝枕から頭を上げて聞いた。
「聞こえない?あの音」
お兄ちゃんはサンルーフを手で押し上げながら言った。
彼の言葉に、由香は耳をすませた。遠くから聞こえる音は、だんだんキーンというけたたましい高い音に変わっていった。
「飛行機?」
「そう、向こうの空見て。飛行機が帰ってきただろう?で、車の後ろ側を見てみろよ」
お兄ちゃんにそう言われて振り返ると、そこは滑走路だった。
車を止めている土手をかすめるようにして飛行機が滑走路に入ってきた。頭上、それもけっこう近いところに飛行機が飛んでくる。
滑走路にはすでに電気が点っていて、その赤や青や黄色に輝く光のラインはとても綺麗だった。
「すご〜い。綺麗」
しばらく声も出なかった由香は、目を丸くしながら言った。
「だろ?音もいいけど、夜の飛行機のライトや、滑走路の光も、すごく綺麗だろう?飛行機が飛んでいくところとか、滑走路だったら、空港から見えるところがあるけど、飛行機が真上を飛んでいるのなんて、この辺りではここからしか見られないんだよ」
「すごい、すごい。本当にすごいよ、お兄ちゃん。この前迎えに行ってあげたお礼には、もったいないよ」
「じゃ、おつり返してね」
そういって、お兄ちゃんは軽く口づけた。

二人で滑走路から飛び去る飛行機、空港に戻って来た飛行機を、何機も何機も見ていた。
夜の9時頃が一番ピークだというので、その時間までずっと。
車のルーフを開けて、シートを倒したまま手を繋いで、ずっと空を見ていた。
そこに会話はなかったが、由香は十分過ぎる幸せを感じていた。
『飛行機ってこんなに綺麗だったかな、こんなに素敵だったかな』

しかし、それは横にいたのが彼だったからであって、他の人とその場所に来ても、あれほどの感動はないだろうということに、由香は気づいていた。



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| 2017.08.30 Wednesday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
第五章 幸福 〜心の居場所〜

9月の中頃、秋というにはまだ少し早い暑い日のことだった。
「もしもし、俺だけど」
「お兄ちゃん、どうしたの?今日は学校じゃないの?」
彼は9月の始めに後期の講義が始まっていたが、由香の方は9月いっぱいまで夏休みだった。
「うん、さっき終わった。でも風邪ひいちゃったみたいで熱があるんだ。仕方ないから薬飲んだら、今度は頭がぼんやりとして、とてもバイクで帰れそうにないんだよ。悪いけど、迎えに来てもらえないかな?」
「どこにいるの?」
「うちの学校の前の美術館あるだろう?そこに…」
「分かった。すぐに行くから待ってて」
由香は電話を放り投げるように切って、一目散に車に乗り込んだ。
まだ暖まっていないエンジンを思いっきり回転させ、信号が黄色になるたび、アクセルを全開にした。

約束の場所に着いた時、お兄ちゃんは美術館の門にもたれて辛そうに立っていた。
「お兄ちゃん」
由香が助手席の窓を開けて彼を呼ぶと、少し微笑んで
「ごめんな。突然」
と言いながら車に乗り込んできたが、その足取りはふらついていた。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。ちょっと大袈裟に言っただけ。会いたかったし」
「じゃ家まで送るね」
そういって由香は、行きと違って、ゆっくりと車を発進させた。

しばらく走って大通りに入ったところで、信号が赤になったので、由香はカーステレオの電源を入れた。
横を見ると、お兄ちゃんは安心しきったような顔をして眠っていた。
カーステレオからは、男性ボーカルの歌が聴こえてきた。
その歌は、雨の降る真夜中、電話ボックスから別れた元恋人のところに電話をかけようとして指を止める。街をさまよいながら行き交う車の中にその恋人の車を探して目で追ってしまう…という内容だった。
『私もお兄ちゃんと別れたら、電話をかけようとして躊躇したり、街で彼の車を探してしまうのだろうか。それより、こんなに大好きな人と別れて、私は普通でいられるのだろうか…』
助手席で眠るお兄ちゃんを見ながら考えていた。

国道から、少し入った川沿いの土手を降りたところに、お兄ちゃんの家はあった。
「着いたよ」
お兄ちゃんを揺すり起こそうとして驚いた。かなりの高熱であることが服の上からも分かった。
「お兄ちゃん、すごい熱じゃない。大丈夫だって言ったくせに」
「その熱のせいで会えたし、おまえの運転する車にも乗れて良かったよ。あ、そうだ。このカセット借りていい?」
由香は、さっきまでかけていたカセットを取り出して、お兄ちゃんに渡しながら言った。
「ちゃんと寝るようにね。バイトはしばらく休まなきゃ駄目だよ」
「はいはい、分かりました。ありがとう。おまえも気をつけて帰れよ」
そう言ってお兄ちゃんは車を降りた。玄関のドアを開けて一度振り返り小さく手を振って家の中に消えていった。
その少し弱々しそうな後ろ姿を見ながら、もし彼がすごく遠いところへ行ってしまったとしても、私はこうやって飛んで迎えに行くだろう。
この人のためだったら、私は何だって出来る。
そんなことを考えていた。

でも、全然遠くないのに、ずっと同じ場所にいるのに、心だけはそう同じ場所にはいられなかった。



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| 2017.08.25 Friday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
第五章 幸福 〜難しい論説〜

その日は1時間ほどかけて、渓谷に行った。車から降りた二人は、休息所の丸太の椅子に腰掛けた。
「海もいいけど、こういうところもいいね。そう言えば、始めの頃のサークルで一度山に行ったよね。キャンプ場みたいなところ」
「うん、行った、行った。あの時、おまえ俺にわざわざ敬語遣って、嫌な感じだったよな」
お兄ちゃんは、鼻の頭に皺を寄せながら言った。
「だって…ほら、あのサークルの前に私、お兄ちゃんに好きだって告白しちゃったでしょう?なのに、お兄ちゃんは何も返事してくれなかったし…恥ずかしいやら悲しいやら、いろんな感情が入り交じっていたから」
「そっか、悪かったな。でも俺も突然のことで、返事のしようがなかったんだよ。自分の気持ちも整理出来てなかったし」
「そうだよね。突然あんなこと言われても困るよね」

二人が話す周りから聞こえてくるのは、少し遠い場所にある川のせせらぎと、鳥の声だけだった。

「今日は白のブラウスと、黒のスカートか。前にも白と黒の服、着てたよね。白と黒が好きなの?」
木のベンチで隣に座ってるお兄ちゃんが、由香の服を見て言った。
「そうだった?」
「ほら、居酒屋に行った日も、白のワンピースで襟のところが黒のを着てたじゃないか」
「よく覚えてるなぁ。そういえば着てたね」
由香はうんうんとうなずきながら答えた。
「あの日、真っ黒に日焼けして入ってきた姿をよく覚えてるよ。日焼けのことを話そうと思ったら、おまえ、ずっと機嫌悪くてさ」
お兄ちゃんは苦笑いしながら言った。
「でも帰る頃には、いろんな話するようになってたじゃない。あの日は居酒屋に行く前、のんちゃんとテニスしてたから」
「そういえば、のんちゃんって伊藤の知り合いなんだよね?おまえとはどういう友達なの?」
「小学校の時の同級生なの。私は中学に上がる時に引っ越したから中学も高校も違うんだけどね。サークルも彼女から強引に誘われたんだけど、今じゃ入って良かったと思ってるよ。友達も出来たし、何よりお兄ちゃんと知り合えたし。でも私、あれから鈴木さんには嫌われちゃったみたい。口利いてもらえないよ」
「鈴木さんか。そういえば、俺にも口利いて来ないな」
「俺にもって、お兄ちゃんは当たり前でしょ。あんなこと言っちゃったんだし」
少しあきれた顔で言った由香にお兄ちゃんは問いかけた。
「彼女の家、すごく金持ちってホント?」
「画廊の娘さんなんだって。彼女にしておけば良かった?家はお金持ちだし、逆玉だったのに」
「あの子には興味ないよ、俺」
お兄ちゃんはそういって少しため息をついたあと、言葉を続けた。

「ずっと前、分かり合えても上手くいかないこともあるって言ってたよね?あれ、どういうこと?」
「例えば、私が寂しいとするでしょ?私と似ているお兄ちゃんは、きっとそれを察知する。察知してもその寂しさをどうにもしてやれない時、罪悪感を抱いたりするでしょう?でも、もし私の寂しさを察知していなかったら、そんなこと思わなくてもいいじゃない?上手く言えないけどそんな感じかな」
「分かったような、分からないような。でも、おまえすごいな」
「どうして?」
「俺なんて、おまえより2年も長く生きてるのに、そんなこと考えたこともなかったよ」
「お兄ちゃんは、私が白と黒の服が好きだって知ってるじゃない?それでいいんだよ」
「何、それ。もしかして俺、馬鹿にされてる?」
珍しく、お兄ちゃんがすねた顔で言った。
「違うって。多くを知りすぎない方がいいってこと。何も知らないのは悲しいけど、全てを知ってしまうと、それはそれで、どちらかが辛くなってしまうかもしれないってこと」
「おまえの論説は時々難しくなるな」

そんなことを言って二人は笑っていたけど、後でその通りの辛さを見ることになるなんて、そのときは知る術もなかった。



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| 2017.08.20 Sunday | ニタモノドウシ | comments(4) | - |
第五章 幸福 〜名残惜しい唇〜

車を降り、お兄ちゃんに手を引かれて着いたところは、周りに工場ばかりが建ち並ぶ埋め立て地の埠頭だった。
「前に本を読みにバイクでよく海に来たって言ってただろ?あれがここ。俺の指定席」
お兄ちゃんは防波堤の壁を指さしながら、そう言って微笑んだ。 
しばらくのあいだ、二人は防波堤に腰掛けて波の音を聞いていた。その音は初めて行ったあの海の音とは、また違った音に聞こえた。
目を閉じて波の音を聞いている由香に
「はい」
と言って、お兄ちゃんが火のついた煙草を差し出した。
「何?」
と言いながら受け取ると、お兄ちゃんが言った。
「いつも車で火をつけて渡してくれるじゃない?いつか、俺が火をつけて渡してあげようと思ってたんだ」

二人でその煙草を交互に吸った。
それ以来、二人きりになるとよくそうした。共有している気分が心地よかった。
でも、別れ際近くになると、二人は一切煙草を吸わなかった。
約束してそうした訳じゃないけど『別れのキスが煙草臭いのは、嫌だよね』と以前話してからだったと思う。
そして由香は煙草臭くない別れのキスを毎回受けた。
名残惜しそうにしてくれる、あの唇の感触が大好きだった。

気がつくと、夏休みに入ってからかなりの日数が経っていた。
お兄ちゃんに会う時間とバイトの時間をはずしながら、由香は教習所へ通っていて、8月の終わり頃、やっと免許がとれた。その免許を手に早速お兄ちゃんに電話をした。
「お兄ちゃん?今日ね、免許とれたの。これで後期から学校に車で通えるよ」
「おまえ、電車とスクールバス苦手だって言ってたもんな。良かったじゃないか、おめでとう。じゃ、早速俺が運転見てやるよ」
「いいよ…もし事故でもして怪我させちゃ困るし」
由香は断ったけど、お兄ちゃんは
「怪我したら、おまえに一生面倒見てもらえるから一石二鳥でしょ?」
と、訳の分からないことを言った。
「嫌だよ。とにかく、私は運転しないからね」
「じゃ、いいよ。運転しなくていいから、出かけよう。今から迎えに行くよ」
そう言って電話は切れた。

迎えに来てくれた時、お兄ちゃんは由香の赤い軽自動車に気づいた。
「もしかしたら、あの赤い軽、おまえの?」
「そう。頑張ってバイトして、卒業までに普通車買うんだ」
そんな由香の言葉を聞かなかったかのように、お兄ちゃんは言った。
「気をつけよう、赤いミニカの683」
「何、それ?」
「俺だけの交通標語」
「つまらないこと言わないでよね」
由香がちょっとふくれて見せると、お兄ちゃんはそれを見て笑った。



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| 2017.08.15 Tuesday | ニタモノドウシ | comments(8) | - |
第五章 幸福 〜嬉しい約束〜

次のサークルについての電話が、のんちゃんから入ってきた。しかし、指定されたその日、由香は用事があって行けなかった。無理だと伝えると
「そっか、じゃ仕方ないね。新井さんの方には私から連絡しておくよ」
と言ってくれたので、のんちゃんに謝って電話を切った。

しばらくして、今度はお兄ちゃんから連絡が入った。
「サークル行かないって、どうして?もしかしたら、俺たちのことが引っかかってるの?もしそうなら、やっぱりみんなに話そうよ。怒られてもいいから、みんなに本当のこと話そう」
お兄ちゃんは少し焦った様子で言った。
「そうじゃないの。学校でね、ラットを飼っていて」
「ラット?ラットってねずみのこと?」
「そう、ねずみ」
大学で解剖用のラットに餌を与える当番があって、サークルの日は、ちょうどその当番に当たっているので、サークルには行けないと由香は笑いながら告げた。
「なんだ、そうだったのか。それなら仕方ないな。じゃ、その代わりに、日曜日、朝からちょっと遠出しようか」
「本当?朝から?朝から会えるんだ?」
由香は、心底喜んだ声で言った。
その声の様子が電話の向こうのお兄ちゃんにも伝わったのか、彼は笑いながら言った。
「おまえ、子供みたいだな。そんなに喜んでもらえたら、俺も嬉しいけど」
そういえばそうだ。今までこんなに嬉しい約束があっただろうか。ただ会えるというだけで、こんなに幸福の絶頂を感じるなんて。
嬉しいとか、悲しいとか、楽しいとか、お兄ちゃんには、そんな今まで持ち合わせたことのない感情をたくさん教えてもらった。
いや、そういう感情はあったのだが、それまではそれを素直に表現することが上手く出来なかった。

日曜になり、待ち合わせの時間に彼はやってきた。
「ね、今日はどこ行くの?」
お兄ちゃんは由香の大好きな街の名前を告げた。
「え!ホント??高校生の頃からよく行ってたの。大好きなところだよ」
「そっか、でも俺はおまえが行きそうな洒落た場所は知らないよ」
「またまた。モテる男は女の子が喜びそうな場所はよくご存じでしょ?」
「あのさ、言っておくけど、俺はそんなにモテないぞ。おまえじゃあるまいし」
「私だってモテませんよ〜」
「もう!減らず口叩かないように、ずっとここにいろ」
そう言ってお兄ちゃんは、由香の頭を腕に抱えて引っ張り、自分の膝に乗せた。
その日から、車に乗った後の由香の指定席はお兄ちゃんの膝の上になった。

お兄ちゃんの膝に頭を乗せ、窓の外を見ると、空と高い建物しか見えず、流れていく車窓はいつも高い位置にあった。
始めはどこを走ってるのか、よく分からなかったけど、馴れてきたら、その高い車窓でだいたいの場所が分かるようにまでなった。
時々、車高の高い車の運転手と目が合って、気まずく下を向いていた。

しかし、上を向いた時見えるお兄ちゃんの笑顔を見るのは由香にとって至福の時間だった。



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| 2017.08.10 Thursday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
第四章 秘密 〜永遠に続く恋心〜

「私ね、バンケットコンパニオンをやってるの。パーティコンパニオンともいうけど。ホテルのパーティではロングドレス着て、お酒作ったり、お酌をしたり、灰皿変えたり、料理を取り分けたり。ホテルの給仕さんと同じような仕事。料亭での宴会の仕事もあって、そっちはスーツ着て。一見さんお断りの料亭での仕事もあるから、普通じゃ入れないところに行けるの。そういうところだと舞妓さんや芸子さんと同じ席で一緒にお酌したり。でも宴会の時はお客さんに勧められたらお酒呑まなきゃならないから、私みたいにお酒呑めない人は困るんだよね。あとね、給料がすごくいいの。パーティって2時間がワンセット。それで5,000円以上。延長依頼されたら30分1,500円。遠くまで行けば出張費もつくの。チーフをやればその手当も出るから、もっと多くなるかな。私がチーフやることもあるんだよ」
由香は悪いことをしている言い訳のように、そのバイトについていろいろ話した。

「へぇ、時給2,500円以上ってこと?俺のバイト料の3倍以上か。そんなに稼いでどうするの?」
「車が欲しいの」
「でも言わば水商売みたいなものだよね?親は知ってるの?そういうバイトしてること」
「うん、知ってるよ。ちゃんと話してる。うちの父親はそういうパーティに出ることも多いし、変な仕事ではないって知ってるから。私が席を置いてる事務所は大手だから父も知ってて使うこともあるって。さすがに鉢合わせしたら気まずいかもしれないけど。それにうちの家は自分が欲しいものは自分で働いて買いなさいっていう教えなの。そういうのもあって、この仕事に反対はしてない。むしろ応援してくれてる」
「ちょっと変わった親御さんだな」
お兄ちゃんは苦笑いだったが、でもそのあとチクリと言った。
「水商売に偏見持ってるわけではないし、それにおまえは、きっとこういうこと言われるのは嫌だろうけど、俺はおまえが化粧して、他の男に愛嬌を振りまいてる姿はあまり見たくないかな」
やはりいい顔はされなかったけど、お兄ちゃんがそう言ったのはその時だけだった。

その後、由香がバイトに行く日は、バイト先のホテルや料亭への送迎をしてくれることもあった。
彼が迎えに来てくれる時は、必死で化粧を落とした。仕事をしていた形跡を消すかのように…
バイトが終わった後のデートは、夜遅かったので、いつも夜景の見える場所へ行った。
夜景を見てしばらくしたら車に戻り、時間の許す限りそこで話したり、何も言わずただ手を握ったままで、お互いのいる感覚を確かめていた。
でも夜の時間は、昼の時間よりずっと早く過ぎていくもので、たいした会話もしないうちに別れの時間になってしまうのが悲しかった。

何度目かの夜のデートの時、お兄ちゃんが聞いた。
「煙草、吸ってもいい?」
「あれ?お兄ちゃん、煙草吸うんだっけ?」
「うん、1日数本だけどね」
「そうだったの。あ、吸ってもいいよ。私も吸う人だから」
由香は鞄から自分の煙草を出して、それを見せながら言った。

その日から由香は、お兄ちゃんと同じ銘柄の煙草に変えた。
彼が運転中、煙草を吸いたそうにしていたら、自分の煙草に火をつけて、それを差し出した。
そうしてしばらく経った頃、お兄ちゃんが言った。
「おまえからこうやって火のついた煙草をもらうの、すごく嬉しいんだよね。いつもと違う味さえするよ」
「違う味って、また毒でも入ってるとか言いたいの?お弁当のときみたいに」
由香が笑いながら、憎まれ口を叩くと
「またそんなこと言って。旨いって言ってるんだよ。もし俺と別れたとしても、他の奴にそうやって火をつけてあげるのはやめてくれよな、絶対。これは俺だけの特権だから」
お兄ちゃんは真剣な顔で言った。
「別れたとしてもなんて言うのはやめて!冗談でも」
由香は少し怒りながら言い返した。

永遠に続く恋心なんて信じてはいなかったけど、別れる時が来るとか、駄目になるのではないだろうかという意識は、出来るだけ遠ざけたかった。

この恋を、大事に大事にしたかった。




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| 2017.08.05 Saturday | ニタモノドウシ | comments(4) | - |
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