雨の街角

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30年近くの月日を経て 2

10数年前のこと、カツミが電話をしてきた。
「今年、俺たち別れて10周年だろ?久しぶりに会おうよ」
「けど、別れて10周年って変じゃない?いくらカツミお得意の記念日でも。出会って10周年ならともかく」
「別れてイコール出会ってだろ?俺たちつきあって別れてばかり繰り返して、結局1年も持たなかったんだから、別れて10年ってことは出会って10年と同じなんだよ」
カツミは笑いながら言った。
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| 2016.07.09 Saturday | 悲しきスクールガール | comments(6) | - |
30年近くの月日を経て 1

あの卒業式から早30年近くの月日が流れた。
あんなに大嫌いだったのに、卒業、入学の声を聞くと思い出すのは、忌々しかったはずの高校のことだ。

私は多分、あの頃とさほど変わってはいない。
相変わらず、人と上手く関われないし、深くつきあえない。心底誰かを信用することもなければ、誰かに媚びを売って自分をいい位置に置いておくことも出来ない。人と群れるのは大嫌いで、一人でいる時間が一番ホッとする。
そうは言いながらも、やはり高校生の時のように生きることはなかなか難しくなった。人の目を気にしてしまうようになったし、自分勝手に自由奔放には振る舞えない。

悲しきスクールガールで書いたように、高校時代、私は幾人かの人たちとすれ違ってきた。
しかし、未だに近況を伝え合う友達でいるのはカツミだけだ。
大学を卒業して、しばらくくらいはつきあいがあった人もいたけど、今は年賀状を交わせばいい方。年賀状の関係すらもうなくなった人がほとんどだ。

そんなだから、現在はどうしているか分からないけど、私が知っている限りのその後を書いてみようと思う。
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| 2016.06.23 Thursday | 悲しきスクールガール | comments(6) | - |
高校3年 28.そして卒業

3年の3学期、ほとんど授業はなかった。
正月が終わってしばらくすると、もう期末試験があり、あとは卒業を待つばかりとなった。

小さなノートを仲の良かった子に配り、一言メッセージを書いてもらうサイン帳みたいなもの書いてもらっている子もたくさんいた。私はそんなのいらない…と思っていたけど、頼んでもいないのに、勝手に私へのメッセージを書いて持ってきてくれる子が何人かいた。
『小雨さんって怖い人だと思っていたけど、全然そうじゃなかった』
『あなたのような人に会ったのは初めてです』
『素敵な詩をありがとう。ずっと大事にします』
最後だからなのか、綺麗な言葉ばかりが並べられていた。
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| 2016.06.13 Monday | 悲しきスクールガール | comments(6) | - |
高校3年 27.いつまでも絶えることなく友達でいよう
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「じゃあ、俺たち、もう会えないってこと?」
カツミがそう切り出したのは、何を言っても理解してもらえそうにないので、彼の反応を待ちつつ、無言のまま私が3本くらいタバコを吸った時だったと思う。
「会えなくはないよ。別れたって友達ではいられるじゃない。電話したり会ったりして、今まで通り話せるじゃない」
「だって友達だろう?それは友達の関係ってことだろう?」
「そうだよ。友達じゃ嫌なの?」
「友達なんかじゃ嫌だ」
「じゃ、もう会わない方がいいね、私たち。会ってもお互いの思う間柄が違うなんておかしいもの。私はカツミを友達だと思ってるのに、カツミは私を恋人だと思ってるってことでしょ?私は友達としてだったらこれからも会えるけど」
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| 2016.05.30 Monday | 悲しきスクールガール | comments(4) | - |
高校3年 26.もう無理だよ

「小雨?この前はごめん。本当にごめん」
カツミからそんな電話がかかってきたのは、彼にセーターを持って行った日から半月ほど経った、数日後には卒業式を迎えるという頃だった。
私は黙ったまま、電話の声を聴いていた。
「俺、あれからずっと考えてた、小雨のこと。どうして小雨は俺のことを分かってくれないのか、どうして俺を受け入れてはくれないのかって。でも答えが出なかった。もう一度やりなおせばその答えが出るような気がして…」
「ごめん」
私はたった一言そう言った。
「ごめん?ごめんってどういうこと?もう駄目だってこと?」
「うん」
「何で?今までも同じようなことで何度も喧嘩したけど、ちゃんとやり直せていたじゃないか。どうして今回は駄目なんだ?」
「今回はカツミが出した答えでしょう?自分が別れようって決めたのにそうそう簡単に覆しちゃ駄目だよ」
「分からない。小雨が別れようって言ったことは何度もあって、そのたびに白紙に戻していたじゃないか」
「そうだね。けど、私はいろんなことが分かってなかったのかもしれない」
「いろんなこと?」
「私たちは、どうしたってもう駄目だってこと。もう、じゃないな。初めから駄目だったのかもしれない。私たちは友達としては最高の相手だし、一緒にいても楽しい。けど、恋人としては最悪の相性なのかもしれない」
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| 2016.05.17 Tuesday | 悲しきスクールガール | comments(4) | - |
高校3年 25.別れに向かって踏み込まれたアクセル
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カツミに冷却期間と言われたあの日以来、彼からの連絡はなかった。

私はバレンタインデーに向けて彼にセーターを編んでいた。深い緑色で、前身頃と後ろ身頃に2本ずつ縄編みが入ったセーターだった。
着てもらえそうにもないんだけど…と思いながらも、折角ここまで頑張ったのだからと編み上げた。

バレンタインデーの数日前、そのセーターが出来上がった。少し躊躇したが渡すことを決意し、恐る恐るカツミの家の電話番号を押した。
「あ、あの…私、だけど」
「そっちから電話してくるなんて珍しいな」
カツミの声には、いつものような元気も嬉しさも全く感じられなかった。
「うん、ちょっと渡したいものがあって…」
「そう。今だったら家にいるから来れば?」
「分かった」
来れば…か。来てよ、でもなければ、待ってるでもなく、来れば…ね。私は心の中でつぶやきながらも、まぁ冷却期間というか別れたのも同然なのだから仕方ないかと思い、受話器を置いた。
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| 2016.05.06 Friday | 悲しきスクールガール | comments(4) | - |
高校3年 24.彼から告げられた別れ

高校最後の冬休みが終わってしばらく経った頃のことだった。カツミから遊園地に行こうという誘いがあった。私は遊園地が好きではなかった。高所恐怖症でもなければジェットコースターのような乗り物が苦手でもなかった。ただ賑やかなところ、みんなが楽しそうにしている場所が苦手だった。
「俺の小学校の時からの友達とその彼女も来るんだ。4人で一緒に行こうってことになったんだよ。小雨来てくれるよな?」
と、行くのが前提のような言葉を付け加えられたので、私は嫌だと断れなかった。
そうして、今はもうなくなってしまった、大阪のエキスポランドに行くことになった。
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| 2016.04.25 Monday | 悲しきスクールガール | comments(4) | - |
高校3年 23.大切なもの

今なら「必ず鞄に入っているもの」と言えば携帯なのだろうが、私が高校生だった頃、みんなが必ずと言っていいほど鞄に入れていたのは手帳だった。
「日曜日、遊びに行こうよ」
という話になると、みんな一斉に鞄から手帳を取り出して来て、それを見ながら
「あ、ごめん。私、その日デートなんだ」
とか
「昼からだったら大丈夫だよ。午前中はお姉ちゃんと買い物に行く予定だから」
とか言うのだった。そして予定が決まると、それを書き込む。
手帳には、みんな事細かに予定やら起こった出来事やらいろいろ書いていた。○月○日 10時誰々ちゃんと駅で待ち合わせ、とか、○月○日 今日は誰々君と遊園地に行った、とか。
予定表であり、日記でもあった。
手帳の後ろについている住所録には、友達や彼氏やらの住所や電話番号がたくさん書かれていた。
「これをなくしたら学校外の友達には連絡出来ない」
などと言っていたところを見ると、やはり今の携帯電話と同じ役目を果たしていたのかもしれないし、見られたら何かがバレる元になるところまで似ていた。
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| 2016.04.20 Wednesday | 悲しきスクールガール | - | - |
高校3年 22.目の前の扉

「あれ、いつも学校で着てるベストでしょ?可愛いね」
少し寒く感じるようになった晩秋。うちに遊びに来たジュンコが、私の部屋にかけてある白いベストを指さして言った。
「私が編んだものだよ」
私の答えにジュンコは目を丸くして言った。
「え〜小雨ってそんなことも出来る人なの?あなたすごいよね、やっぱ」
「全然すごくなんかないよ。ジュンコの方がずっとすごいよ。自分の道、ちゃんと決めてるんだから」
「私の目の前の扉は2つしかないの。英語とハモンドオルガン。将来的にはどっちも開けるんだろうけど、とりあえずは英語の扉を開いてみるの。小雨はいろんな扉がありすぎて迷っちゃうんじゃない?理数系も美術系も国語系も得意なのに、まだあんな特技まであったなんてさ」
ジュンコは白いベストを見ながら言った。

「私は上の短大の栄養士の学科に進むつもり」
「栄養科ってうちの高校からですら、上に行ける推薦枠20人程度だって言ってたけど」
「推薦はしてもらえるの、八田がそう言ってた。でもテストもあるしね。そこで落とされる人も結構いるんだって。テストで駄目だったりして」
「小雨なら何の問題もなくOKでしょう。学年でもいつもトップに近いところにいるんだし」
「だといいけどね」
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| 2016.04.15 Friday | 悲しきスクールガール | - | - |
高校3年 21.我が道を生きる
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「小雨、帰る前、ちょっと部室に来てくれない?」
放課後そう話しかけてきたのは、写真部の部長、チャウだった。
彼女は笑った顔が、犬のチャウチャウに似ているというところから、そのあだ名がついていた。くしゃっとした笑顔がとても可愛い女の子で、写真部部長であり、学校外の写真撮影会のモデルをやっていた。

写真部の部室は校門近くの、暗室がある部屋だった。
「ごめん、今ちょっと手が離せないの。そこに座って待ってて。あ、そうだ。現像してるところなんだけど、良かったら見る?」
私はチャウの元へ寄った。彼女は平たい入れ物に入った液体に何かをつけていた。その液体からはツンと鼻に来る酢酸系の匂いがした。
「臭いでしょ?現像液なの」
その言葉にうなずきながら、私はしばらくチャウの様子を見ていた。

一段落したところで、椅子を差し出してチャウが言った。
「早速だけど、良かったらうちのモデルやってくれない?」
「モデル?」
「そう、私たち写真部ってね、風景も撮るけど、やっぱり人間を撮りたいって人が多いの。でもなかなかモデルになってくれる人がいなくて。ね、お願い!」
彼女はチャウチャウ犬のように、くしゃっとした笑顔をしながら言った。
特に断る理由もなかったし、モデルという言葉に興味もあったので、私はその話しを引き受けた。
「じゃあ、来週の日曜、撮影会ってことでよろしくね。じゃ、詳細は今日の部活で決めて追って連絡するよ」
と言われ私は部室を出た。
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| 2016.04.11 Monday | 悲しきスクールガール | - | - |
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