雨の街角

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2017年春 西陣の町並みと桜 3
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雨宝院です。「うほういん」と読みます。
私の名前を見て頂いて分かるように、雨好きの私にとって雨宝院なんてホント最高な場所。なのに私はその雨宝院に一度も行ったことがなかったのです。
一歩足を踏み入れてびっくり。狭い敷地内にはウジャウジャと人が…数えてみたところ30人ほどいらっしゃいました。
本当に狭いところなんですよ。
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| 2017.04.27 Thursday | 京都・神戸 | comments(0) | - |
第一章 嫌悪 〜ピエロの役回り〜

次のサークルは、居酒屋で懇親会だとのんちゃんから連絡があったのは、初めてのサークルから1週間ほどした頃だった。
乗り気ではなかったが、のんちゃんの立場も考えて、あと何回かは顔を出しておこう、と由香は決めていた。
「サークルは夕方からだし、それまで久しぶりにテニスでもしない?」
のんちゃんはサークルの話が終わると、由香をテニスに誘った。

まだ4月だというのに約束したその日は真夏のような暑さだった。コートにいる間中、肌がジリジリ焦げ付いていくような、そんな感覚に捕われていた。
案の定ロッカールームで自分の姿を見ると真っ赤に日焼けしているのが見えた。

夕方、のんちゃんと居酒屋に行くと、二階の座敷席に通された。部屋に入ると、他のメンバーはすでにそろっていた。
「適当に座って」
という声が聞こえたので、空いている席を探して、由香は思わず「え?」と声をあげた。
あの嫌な男、新井さんの横しか空いている席が見えなかった。彼の左隣は当然のごとく、鈴木さんが陣取っていた。のんちゃんを見ると空いていたもう一席に座って隣の人と話し始めていた。
ボーリングの時、同じグループだった恵ちゃんに、ことの経緯を聞いてみると
「あ〜、新井さんの隣ね、初めは他の子が座っていたの。だけど、鈴木さんがあまりに新井さんにべたべたするものだから、嫌気がさして、別の席に移っちゃったのよ」
と、しかめっ面で教えてくれた。
そういう事情なら、新井さんの横に座ったところで、彼は鈴木さんと話すのに忙しく、自分に構うこともないだろうと思い、由香は空いているその席に座ることにした。

案の定、鈴木さんは自分が食べることをそっちのけに、料理をお皿に盛っては
「はい、新井さん。これ美味しいよ。私もさっき食べたんだけど、すごく美味しかったの」
などと言いながら、甲斐甲斐しく面倒を見ていた。由香は彼らの方を一瞥しただけでそっぽを向いた。
しかし、そんな由香に新井さんは声をかけてきた。
「ブラックコーヒーの格好いいお姉さん、飲んでる?食べてる?」
「飲んで食べてますので、どうぞおかまいなく」
そんな素っ気ない態度にもめげず、新井さんは続けて質問をしてきた。
「大人しいね?ボウリングの時も静かだったし。どこの大学だっけ?出身は?」
「南のはずれにある、誰も知らないような短大に通う、地元の人間です」
冷たく答えてやれば、そのうちあきらめるだろうと思ったのに、彼は嬉しそうに続けた。
「南にある短大って、もしかしたらあそこ?俺の家のすぐ近くだよ?俺の家はね…」
などと聞いてもいないのに、自分の家の説明まで始めた。

サークルは乗り気がしないので大人しくしているけど、由香は普段、決して大人しい人間ではなかった。
コンパやパーティをするときには、たいていの場合、幹事で、もちろん、それは由香の盛り上げてくれる性格を知ってのことだった。あの子に任せておけば楽しい場が作れるとみんなが思っていたからだった。
人が集まる場所には、必ずいる『場を盛り上げるだけのピエロの役回り』それが由香だった。
但し、それは仮の姿。
本当は、賑やかなことは苦手だった。全てのことを一歩引いたところで、冷めた目でしか見ることが出来ない女。
だからこういう自分に似通った、賑やかなピエロ男の真意を探ってしまう。そして探ってしまう自分に疲れてしまうので、得意ではなかったのだ。

つまらなそうに答える由香の態度にもかまわず、新井さんは話し続けた。
その新井さんの向こう側では、鈴木さんがしきりに彼に話しかけていたが、彼に無視される形となっており、寂しそうにしているのが見えた。
「お隣の彼女、あなたと話したがってますよ。私なんかにかまってる暇があったら、お隣と話されたらいかがですか?」
由香は冷たく新井さんにそう言い放った。
「実はね、あの子、苦手なんだ」
新井さんは杏子の耳元で答えた。
「苦手なら苦手だって言えばいいじゃないですか。あなたがいい顔ばかりするから、彼女、勘違いして…」
そこまで言いかけた時だった。新井さんはくるっと鈴木さんの方を振り返って言った。
「あのさ、俺ばかりと話しても、仕方ないでしょ?もっと他の人とも話さなきゃ」
その言葉を聞いて、鈴木さんはすごい形相になった。しばらくすると涙目になり
「そんな風に言わなくても…」
と言い返したが、新井さんは
「だってそうだろう?いろんな人と会話するために、このサークルも親睦の場もあるんだから。俺だって他の人とも会話したいし、君ばかりかまってるわけにもいかないんだよ」
と、ムッとしている様子だった。

一瞬にして場が凍り付いた。



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| 2017.04.25 Tuesday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
2017年春 西陣の町並みと桜 2
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北野界隈は上七軒という花街がある。
多分西陣の織物関係の旦那さんが贔屓にしていたのだろう。花街の他にも有名な料理屋さんがたくさんある。
この天喜(てんき 本当の字は喜ぶの旧字体 七3つなのだけど、出て来ないので)もその一つ。ここは天ぷら屋さん。そこそこの金額はするがびっくりして目が飛び出すほどじゃない(笑)だってねぇ、日本料理の店で有名なところだったら「え?ゼロ一つ多くありません?」って金額のところいっぱいありますよね。
この天喜、私は昔々仕事で一度行ったことがあります。仕事なので食べることはありませんでしたが、良い匂いがしてましたね(笑)
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| 2017.04.24 Monday | 京都・神戸 | comments(4) | - |
2017年春 西陣の町並みと桜 1
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今年は仕事や天気の都合で桜の機会を逸してしまい、16日の日曜日、やっと桜見物に行ける日が来ました。
いつも行く祇園や蹴上には行きませんでした。その辺りの桜はすでに終わっていることを知ったので。
で、今まで桜見物には行ったことのない西陣方面に行くことにしました。あの辺りならよく知ってるので桜の写真が撮れなくても他に撮りたいものもあるし…と思って。
あと、一度行ってみたいお寺があったんです。名前は聞いていましたが未だに行ったことがなくて。

という訳で西陣の散策スタートです。
この辺りをウロウロしていると気づいたのがゲストハウスの多さでした。町屋をゲストハウスに使っているところの多いこと多いこと。

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| 2017.04.21 Friday | 京都・神戸 | comments(6) | - |
第一章 嫌悪 〜真意が見えない〜

「靴を履き替えたら、向かいの喫茶店に移動して下さい」
メンバーの男性が叫んでいるのが聞こえたので、みんな言われた通り、ゾロゾロと喫茶店に向かった。
全員が着席したところで、アイスコーヒーとケーキを人数分、と先ほどの男性が注文した。しかし、甘いものが苦手な由香は店員を呼び、私だけケーキなしで、コーヒーは砂糖とミルク入なら両方入れないで下さいと小声でお願いした。
「格好いい!お姉さんブラックですか?」
声のする方向を見ると、新井さんだった。
『やっぱり嫌いだ、あの男』由香は彼の言葉を完全に無視しながら、自分のその言葉をぐっと飲み込んだ。

「君、隣のレーンにいた、すごくボウリング上手かった子だよね?」
新井さんを睨む由香に、隣の男性が話しかけてきた。彼はさっきのんちゃんが駆け寄って、由香がサークルに正式に参加すると告げた男性だった。
「ボウリング、好きなんですよ」
褒められたことに気を良くして、由香は笑顔で答えた。
「抜群に上手かったよ。俺なんて100ぎりぎりだったし。おまけにもう体中が痛くて。高校の頃はスポーツ万能、モテモテ青年だったのになぁ。あ、俺、伊藤って言います。よろしく!」
自分を伊藤と名乗った男性は、首を左右にゴキゴキ振りながら笑って言った。
「よろしくお願いします」
由香は、少し微笑みを浮かべながら言った。
「伊藤!嘘つくなよ。えっと、俺は浅田、よろしくね。俺、こいつと高校のときからずっと一緒だけど、全くモテたことなんてありませんから」
反対側の隣の浅田さんがそう突っ込んできたので、3人は顔を見合わせて笑った。

それからしばらく由香と伊藤さんと浅田さん、3人で学校の話やボウリングの話で盛り上がった。
サークルなんて、恋人探しのつまらないところかなと思っていたけど、そうでもなさそうだった。まだよくは分からないけど、みんながみんな、恋人探しにギラギラしているようなところではなさそうだ。
それに普通だと知り合わないような人に出会うことが出来るし、ここから広がる輪が、もっと違う人と知り合うきっかけになるかもしれない。
そういう繋がりは嫌いじゃない。浅めの繋がりは好きだった。
ただ、男女共に深いつながりを持つことは、由香にとって苦手なことだった。

「じゃあ、今日はこの辺でお開きにします。次回のサークルについては、また後日連絡します」
小一時間ほど経ったとき、伊藤さんが立ち上がってそう言った。
喫茶店を出て、それぞれ帰途に着いた。
由香がのんちゃんとバス停に向かって歩いていると後ろから声がした。
「じゃ〜ね〜、ブラックコーヒーの格好いいお姉さん〜」
その声に振り返ると、腕に鈴木さんがぶら下がったままのふざけた男、新井さんだった。
「新井さんったら!他の女の子なんて見ないでよぉ」
鈴木さんはそう言いながら、彼の頬を叩く真似をしていた。
由香は、彼らに挨拶をすることもなく、踵を返した。

「ね、あの新井さんって人、いつもあんな感じなの?」
帰り道、一緒にバスを待つのんちゃんに由香は、嫌悪感たっぷりの顔つきで聞いた。
「どうだろ?私は学部が違うから、よく知らないけど、サークル発足の会をやった時にはあんなに騒がしくなかったよ。人望もあついみたいで、他の男子からも頼りにされてるよ。彼、リーダーだし、このサークルの」
のんちゃんは何気なくそう言った。
「え?あの人がリーダーなの?伊藤さんじゃないの?やっぱりやめておけば良かった」
由香はうつむき加減で言った。
「まぁまぁ。彼には彼の良いところもあると思うよ。それに、人間20人も集まれば、好きなタイプも、苦手なタイプもいるって」
「私、あの人とは仲良く出来そうもないよ。真意が見えないし」
「真意?10年以上つきあっても、私には未だ由香の真意が見えませんが?」
のんちゃんは首をすくめて、おどけながら言った。
彼女のいうことについては、その通りかもしれないと苦笑いしたけれど、新井さんについての話は何もうなずけなかった。



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| 2017.04.20 Thursday | ニタモノドウシ | comments(6) | - |
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